白色申告の経費【上限・書き方・注意点】

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白色申告の経費について、上限がいくらまでか、領収書は必要かどうか、経費にできるもの、一部経費にできるもの、経費にできないもの、経費の書き方、についてまとめています。

白色申告の経費の上限はいくらまで?

白色申告者において、経費全体の上限がいくらまでという明確な決まりはありません。事業を営むために使用した費用が経費とみなされます

経費かどうかは誰かに指示されるわけではなく、判断するのは基本的に自分です。税理士と契約している人は税理士と相談してどこまでが経費であるかを決めます。

つまり白色申告をする場合は自己申告制で納税するため、本来経費にできる内容を漏れなく申告しないと無駄に税金を支払うことになるのでその分損をします。

白色申告者が10万円を超える備品を経費にする場合は上限あり

10万円以上するパソコンなどの備品を購入する場合は減価償却をして、複数年にまたがって経費に分割計上する必要があります。つまり、白色申告者が購入した年に一括経費計上が可能な上限値は99,999円です。

一方青色申告の場合は「少額減価償却資産の特例」という制度があるため、30万円未満までが購入した年に一括経費計上可能となるメリットがあります。

白色申告で経費計上するために領収書は必須ではない

経費計上するために実は領収書は必須ではありません。領収書ではなくとも、レシートやクレジットカードの明細、インターネットバンキングのスクリーンショットなど支払いがあったことを証明するエビデンスが提示できれば経費に計上することが可能です。

自己申告制で計上するので一見エビデンスがないものでも何でも経費計上することはできそうですが、仮に税務調査が入って指摘を受けた場合、悪質な脱税と見なされると延滞税に加えて重加算税という形で本来納めるべき税金以上に徴収される可能性があります。

経費にする予定の支払いは確実に領収書など証明するためのエビデンスを残しておきましょう。なお、白色申告をする時に領収書の提出は不要です。ただし、領収書は手元に5年間保管しておく義務があるので申告が終わっても捨てないように注意してください。

白色申告の経費一覧

白色申告の収支内訳書に記載されている勘定科目を中心に、白色申告の経費について勘定科目別に具体例をまとめました。それぞれの勘定科目の詳細はリンク先に記載しています。(随時追加更新予定)

勘定科目内容
仕入高売上に直結する原料や材料などを外部から調達した際にかかる経費
租税公課個人事業税、自動車税、固定資産税、印紙税などを経費計上する際に使う
荷造運賃商品、製品の運搬経費
水道光熱費水道代、電気代、ガス代などの経費
旅費交通費電車、バス、タクシー、SuicaやPasmoのチャージ、飛行機などの経費
通信費電話代、切手、はがき、インターネット通信料、サーバー代などの経費
広告宣伝費ホームページ制作費、試供品、粗品製作費、名刺製作費、チラシやWeb広告などの広告宣伝に関する経費
接待交際費取引先の接待(飲み会、忘年会、飲食費、ゴルフ等)や贈答(お中元、お歳暮、プレゼント、慶弔見舞金)のための経費
修繕費器具備品や車両など有形固定資産をメンテナンス・管理するための経費
消耗品費蛍光灯や事務用品、作業服など短期間で消耗する備品などの経費
減価償却費土地や建物、機械などの固定資産の価値の減少を経費計上する場合に使用
福利厚生費従業員の社会保険料や労働保険料、健康診断費用、制服代、残業代、食事代などの経費(事業主本人を除く)
給料賃金従業員に給与を支払った場合に使用
外注工賃業務委託などで外部の会社や個人に業務を委託するための経費
地代家賃事務所、工場、駐車場、店舗などの家賃や管理費や共益費、20万円未満の礼金、20万円未満の更新料(敷金は除く)
貸倒金売掛金が債権回収不能になった場合に経費計上する
雑費他の勘定科目に含まれない少額の経費
貸倒引当金受取手形、売掛金、貸付金、未収金等の債権に対する回収不能見込額を経費計上する際に使用
専従者給与専従者に給与を支払った場合に使用
販売促進費販売促進に関連する経費
会議費打合せや会議のための会議室やランチミーティングのお弁当代やお茶代など飲食費
新聞図書費新聞、書籍、雑誌の経費。ヘアサロンやネイルサロンなどの雑誌や新聞も含まれる
支払手数料銀行の振込手数料や仲介の仲介手数料、証明書発行手数料などの経費
支払報酬弁護士、税理士、社労士など専門職への報酬の支払いを経費計上する際に使用
研修費業務に関連するセミナー参加費用や会場費用
車両費ガソリン代、車検費用、高速料金、ETC料金、オイル交換費用
車両運搬具車両本体、エアコンやカーナビ、納車費用、自動車取得税

白色申告で一部経費にできるもの(家事按分)

車や自宅や携帯電話などをプライベートと個人事業の両方で使っている場合は使用比率に応じて部分的に経費に計上することができます。この処理を家事按分と言います。

家事按分する経費は以下のような内容になります。

・自宅兼事務所の家賃、水道光熱費、引っ越し代金
・自家用車の車両代、駐車場代、ガソリン代、高速代、自動車保険料、固定資産税、自動車税
・携帯電話料金、インターネット通信料

家事按分するための条件として白色申告の場合は、事業で使用している割合が50%以上でないと経費計上できないという基準があります。一方青色申告者は合理的に説明できる内容であれば10%や20%の業務使用割合であっても経費計上することが可能です。

関連記事:家事按分とは

また、経費計上について白色申告と青色申告でいくつか差がある部分があります。青色申告は65万円の特別控除があるなど、結論としては青色申告のメリットが大きいのですが、詳細は「白色申告と青色申告の違い」にまとめています。

白色申告で経費にできないもの

白色申告者は以下の内容については経費にできません。

・自分への給与
・健康診断や人間ドックの費用
・仕事で怪我をした場合の治療費、病院代
・国民健康保険料、生命保険料
・スポーツクラブやスポーツジムの会費
・事業ではなく個人にかかる税金や公的負担や罰金(詳細は租税公課を参照)
・持ち家の場合の自宅への家賃
・出張した場合の出張手当
・スーツ、ワイシャツ、メガネ
・保育園代
・美容院代、散髪代
・個人事業主と専従者のみの旅行、飲食
・敷金(経費ではなく資産計上する)
・持ち家の場合の自分自身への家賃支払い
・20万円以上の礼金、更新料
・延滞税や各種罰金、贈与税

白色申告の経費の書き方は収支内訳書と合わせることがポイント

白色申告の最終ゴールは一年間の売上や経費をまとめて確定申告書と収支内訳書を提出することです。そのために日々の帳簿づけは、合計値を記載する収支内訳書に合わせておくと集計作業が楽になります。

日々の帳簿づけは、収支内訳書に印字されている勘定科目別に明細を書くことを心がけましょう。個人事業主向けの会計ソフトを使用して記帳すると、確定申告書や収支内訳書は自動計算して出力してくれます。

経費の書き方の詳細は「白色申告の帳簿づけ」にまとめています。