外注工賃とは【仕訳例・給与賃金との違い】

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外注工賃とは

外注工賃とは、web開発やデザイン、営業代行や事務代行などを委託している外注先への支払いを経費計上するための勘定科目で、外注費とも言います

外注工賃(外注費)と近い勘定科目に「給与賃金」がありますが、外注工賃は会社の外の人に支払う場合、給与賃金は会社の中の人に支払う場合に使います。

例えばwebサービスの開発のために社員と業務委託のエンジニアが作業をしていた場合、社員には給与賃金として支払いますが、業務委託のエンジニアには外注工賃として支払います。

雇用している場合は給与賃金、雇用していない場合は外注工賃となります。

外注工賃(外注費)の仕訳例

法人に外注したデザイン料10万円を銀行振り込みで支払った場合
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
外注工賃100,000普通預金100,000

法人に対する支払は源泉徴収が発生しないので外注工賃の額面全額を支払います。

源泉徴収義務者が個人事業主に発外注したデザイン料10万円を銀行振り込みで支払った場合
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
外注工賃100,000普通預金89,790
預り金10,210

個人事業主に対する支払かつ支払う人が源泉徴収義務者である場合は源泉徴収が必要です。

源泉徴収が必要な場合は預り金の勘定科目を使って10.21%の源泉徴収分を差し引いて支払います。厳密には消費税も加味して支払いますが、詳細は個人事業主が源泉徴収を支払う場合を参照してください。

外注工賃と給与賃金の違い・比較

比較項目外注工賃給与賃金
源泉徴収原則不要だが、源泉徴収義務者に該当する個人事業主は必要。必ず源泉徴収が必要。
消費税課税事業者の場合
課税取引のため、消費税分が控除される
免税事業者の場合
控除なし
課税事業者の場合
控除なし
免税事業者の場合
控除なし
社会保険負担なし負担あり

源泉徴収

専従者などを雇って給与を支払っている場合は必ず源泉徴収が必要ですが、一人で事業をやっている個人事業主などがデザイナーにロゴを外注した場合などは源泉徴収が不要です。

ただし、個人事業主でも 源泉徴収義務者にあたる人は外注した場合も源泉徴収して支払う必要があるので要注意です。

合わせて支払調書の提出義務もありますのでこちらも忘れないようにしましょう。

消費税

課税事業者の消費税の納税額はざっくり以下の計算式になります。

消費税の納税額 = 売上の8% – 仕入の8%

売上で受け取った消費税から原材料の仕入や外注費で支払った消費税を引いて、差分を消費税として納税します。

外注工賃の場合は消費税がかかる取引である一方、給与の支払いは不課税取引なので消費税とは関係がありません。

[外注工賃のケース]売上3,000万円(=消費税240万円)の個人事業主が外注で108万円支払った場合

外注の支払い:外注費100万円 + 消費税8万円 = 合計108万円
消費税の支払い:240万円 – 8万円 = 232万円
出費の合計:108万円 + 232万円 = 340万円

[給与賃金のケース]売上3,000万円(=消費税240万円)の個人事業主が給与で108万円支払った場合

給与の支払い:108万円
消費税の支払い:240万円
出費の合計:108万円 + 240万円 = 348万円

社会保険

給与を支払う従業員がいる場合、社会保険の加入義務があるため、保険料の負担が発生します。一方、外注先に外注工賃を支払う場合は社会保険料は発生しないので同じ金額を支払うのであれば社会保険料の分外注工賃のほうが割安になります。

外注工賃にできる条件

ここまでの内容から、給与賃金よりも外注工賃のほうがお財布に優しいことが理解できますが、支払いを給与にするか外注工賃にするかは自由には選べません。

外注工賃にするためには以下の条件を満たす必要があります。

  1. 時間の拘束を受けないこと。定時出勤などが指定されない、勤怠管理などがないこと。
  2. 労働時間の対価ではなく、成果物に対する対価であること。
  3. 指揮命令できる関係ではないこと。発注する内容に対して具体的な方法を指定して業務完了まで指示する関係はNG。
  4. 発注した人が外注先の経費負担やPCなど業務遂行のために必要な機材等の支給がないこと
  5. 外注を受けた人間が急病等でその業務を遂行できない場合、自分の責任において他の人をアサインして請け負った業務を遂行できる状況であること。

税務調査等で外注工賃が給与と判定されてしまった場合、本来支払うべきであった源泉所得税や消費税の追徴や過少申告加算税、不納付加算税、延滞税が発生する可能性があります。ほぼ社員のような扱いで外注先に外注工賃として支払う場合は要注意です。