複式簿記・単式簿記とは【入門・書き方・仕訳例・メリットデメリット】

取引の記録には複式簿記単式簿記(簡易簿記)の2つの記帳方法があります。本記事では入門編として複式簿記とは、単式簿記とは、仕訳例、書き方の例、メリットとデメリットについてまとめています。

複式簿記とは

複式簿記とはお金や物の増減(取引)が発生した時点でその「原因」と「結果」を同時に帳簿に記録する方法です。原因と結果を「取引の二面性」と言います。物を買ったり売ったりすると現金が増えたり減ったりしますが、お金の移動はなくとも例えば災害や事故などが発生した場合などもお金や物の増減が発生するため、これらも簿記の世界では取引と呼びます。お金に換算できる事象をすべて取引と言います

取引の発生例
原因結果
・商品を売った
・サービスを提供した
お金が増えた
・原材料を仕入れた
・備品を購入した
お金が減った
・地震が起こった
・盗難に入られた
商品が減った

取引が発生したとき、原因と結果を左(借方)と右(貸方)に記録することを仕訳と言います。仕訳は必ず借方と貸方が同じ金額を入力するため、どれだけ仕訳の数が増えても最終的な貸借は必ず金額が一致します。これを貸借平均の原理といいます。

複式簿記で取引を記録していき、「費用」と「収益」に関する仕訳を集計することで損益計算書を作成することができます。同様に、「資産」「負債」「純資産」に関する仕訳を集計することで貸借対照表を作成することができます。

単式簿記とは

単式簿記は簡易簿記とも言い、売上と費用が発生する取引に限定してお金の増減を記録する方法です。例えば商品を売ってお金が増えた場合、「お金が増えた」だけを記載することになります。

単式簿記は「費用」と「収益」を記録するため、損益計算書は作成できますが貸借対照表を作成することはできません。

複式簿記・単式簿記の仕訳例(書き方の例)

それでは同じ例を複式簿記、単式簿記で仕訳してみましょう。複式簿記は借方と貸方に必ず同じ金額を入れます。単式簿記は摘要に現金が移動した理由を記載し、入金もしくは出金の列のいずれかに移動した金額を記載し、その結果の残高を入力します。

例1:2017年7月31日にサーバー代5,000円が残高120,000円の銀行口座から引き落とされた。

複式簿記の仕訳の書き方

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/7/31通信費5,000普通預金5,000

単式簿記の仕訳の書き方

日付摘要入金出金残高
2017/7/31通信費5,000115,000
例2:2017年8月1日に2万円の商品を販売して現金で受け取って残高が135,000円になった。

複式簿記の仕訳の書き方

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/8/1現金20,000売上20,000

単式簿記の仕訳の書き方

日付摘要入金出金残高
2017/8/1売上20,000135,000

複式簿記・単式簿記のメリットデメリット

単式簿記は記帳が簡単だが事業の健康状態を確認することが困難

単式簿記はお金を使った内容と金額を記録するだけなので家計簿のように簡単な点がメリットと言えます。さらに、単式簿記は少額の売上を1日単位でまとめて1明細とすることや、掛け売りした場合も現金が入ってきた時点で売上をカウントすることなど、経理を簡単にすることが認められています。

取引内容簡略化の内容
売上(1)少額な現金売上は、日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)小売業などの現金売上は日々の合計金額のみを一括記載する。
(3)保存している納品書控、請求書控等で内容を確認できる取引については日々の合計金額のみを一括記載する。
(4)掛売上の取引で保存している納品書控、請求書控等で内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、代金を受け取った時に現金売上として記載する。この場合、年末における売掛金の残高を記載するものとする。
(5)いわゆる時貸については、日々の記載を省略し、代金を受け取った時に現金売上として記載する。この場合には、年末における時貸の残高を記載するものとする。
(6)棚卸資産の家事消費等については、年末において、消費等をしたものの種類別に、その合計金額を見積もり、当該合計金額のみを一括記載する。
売上以外の収入(1)少額な雑収入等については収入の種類別に日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)実際に入金した時に記載する。この場合には、年末における雑収入等の未収額及び前受額を記載するものとする。
仕入(1)少額な現金仕入については、日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)保存している納品書、請求書等で内容を確認できる取引については、日々の合計金額のみを一括記載する。
(3)掛仕入の取引で保存している納品書、請求書等で内容を確認できるものについては、日々の記載を省略し、代金を支払った時に現金仕入として記載する。この場合には、年末における買掛金の残高を記載するものとする。
(4)いわゆる時借については、日々の記載を省略し、代金を支払った時に現金仕入として記載する。この場合には、年末における時借の残高を記載するものとする。
仕入以外の費用(1)少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する。
(2)実際に出金した時に記載する。この場合には、年末における費用の未払額及び前払額を記載するものとする。
出典:簡易な方法による記帳|国税庁

ただし、収益と費用のみを記録する形式であるため、一年間の収支はわかりますが、現金の移動が発生しない取引を記録することができません。例えば建物の減価償却をした場合の仕訳や商品を販売した時に売掛金が発生した場合などは複式簿記でないと記録ができません。

また、一番のデメリットは青色申告特別控除65万円は複式簿記の記帳が必須なので、その分損することになります。

複式簿記はとっつきにくいが貸借対照表(BS)を作成することができる

複式簿記は借方と貸方の概念が最初は理解しずらい点がデメリットになりますが、ここは我慢して少し調べつつ慣れることをおすすめします。例えば「個人事業主のクレジットカード決済の仕訳」や「個人事業税 仕訳」などのキーワードでググると大抵仕訳例が出てくるので、意外と調べるのは簡単です。

複式簿記が使えるようになると、65万円控除に対応するだけでなく、貸借対照表を作成することができます。すると、毎月の売掛や買掛の残高、まだ売れていない在庫の残高、銀行からの借入金の残高、累積の利益額など、資産や負債がいくらあるかが一目瞭然になります

65万円の青色申告特別控除には複式簿記の記帳が必須

 白色申告青色申告
青色申告特別控除なし10万円65万円
記帳単式簿記単式簿記複式簿記
提出書類確定申告書
収支内訳書
確定申告書
青色申告決算書
確定申告書
青色申告決算書

白色申告と青色申告の違いについて簡単に表にしました。上記段落にも記載しましたが、65万円の青色申告特別控除を受けるためには複式簿記による記帳と、確定申告の時に損益計算書と貸借対照表がセットになった青色申告決算書の作成が必須です。

複式簿記を採用しない場合は青色と白色いずれも単式簿記で記帳する点は同じながら、青色申告だけ10万円特別控除を使うことができます。せっかく同じ記帳をするなら青色申告承認申請書を提出して青色申告をしたほうがお得です。開業届と合わせて提出しましょう。

会計ソフトを使うと複式簿記の記帳から申告書や決算書の作成がスムーズ

会計ソフトでいったん複式簿記で仕訳さえ入力してしまえば、毎月の試算表や確定申告の時の確定申告書B青色申告決算書の作成は自動計算してくれるためかなり手間がかかりません。複式簿記で仕訳する人は会計ソフトを導入しましょう。