個人事業主のクレジットカード決済の仕訳3パターン【仕訳例付き】

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個人事業主がクレジットカードで支払った場合に仕訳が発生するのは以下3パターンです。それぞれ仕訳が異なるので具体例を交えて説明します。

①事業用のクレジットカードで事業経費を支払った場合の仕訳
②プライベート用のクレジットカードで事業経費を支払った場合の仕訳
③事業用のクレジットカードでプライベートの支出を支払った場合の仕訳

①個人事業主が事業用のクレジットカードで事業経費を支払った場合の仕訳

個人事業主が事業用のクレジットカードで支払った場合は支払い時に現金や預金は減少しないのでいったん「まだ支払っていないけどこれから支払いますよ」という意味の勘定科目「未払金(みはらいきん)」で仕訳を起こし、クレジットカードの利用料金が引き落とされる日付で未払金を「現預金」の勘定科目で相殺する処理となります。

2017年7月5日に事業用クレジットカードで取引先への移動のタクシー代を1,620円支払い、2017年8月10日にクレジットカードの利用料金1,620円が事業用口座から引き落とされた場合

STEP1:クレジットカード決済日の仕訳

取引日借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/7/5旅費交通費1,620未払金1,620

STEP2:口座引き落とし日の仕訳

取引日借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/8/10未払金1,620普通預金1,620

②個人事業主がプライベート用のクレジットカードで事業経費を支払った場合の仕訳

プライベート用のクレジットカードで支払った場合の仕訳はシンプルです。クレジットカードを切った日付で現金と同じく「事業主借」の仕訳を起こして終わりです。

2017年7月5日にプライベート用クレジットカードで取引先への移動のタクシー代を1,620円支払い、2017年8月10日にクレジットカードの利用料金1,620円がプライベート用口座から引き落とされた場合

STEP1:クレジットカード決済日の仕訳

取引日借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/7/5旅費交通費1,620事業主借1,620

STEP2:口座引き落とし日の仕訳

なし

③個人事業主が事業用のクレジットカードでプライベートの支出を支払った場合の仕訳

事業用のクレジットカードでプライベートの支出を支払った場合は現金支払い同様に「事業主貸」を使って仕訳します。ポイントはクレジットカード決済日ではなく口座引き落とし日に仕訳を切ることです。

2017年7月5日に事業用クレジットカードでプライベートのタクシー代を1,620円支払い、2017年8月10日にクレジットカードの利用料金1,620円が事業用口座から引き落とされた場合

STEP1:クレジットカード決済日の仕訳

なし

STEP2:口座引き落とし日の仕訳

取引日借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/8/10事業主貸1,620普通預金1,620

現実的な仕訳例

一か月の間にクレジットカードは何度も使うと思うので、現実的には以下のようにクレジットカードによる複数の未払金の仕訳が発生し、口座引き落とし日ひ未払金を普通預金でまとめて相殺する仕訳が発生します。

普通預金で未払金を相殺する際にプライベートの支払いを事業用クレジットカードで支払っている場合は忘れずに処理しましょう。

2017年7月10日に仕事関連の参考図書890円を事業用クレジットカードで購入、2017年7月14日にプライベートの食事代1,038円を事業用クレジットカードで建て替え、2017年7月21日に事業用携帯電話の支払いが6,531円発生し、2017年8月10日に事業用口座から合計8,459円口座引き落としがあった。

仕訳例

7月10日、7月21日、8月10日にそれぞれ以下3つの仕訳を起こします。8月10日の仕訳は複合仕訳になります。

取引日借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/7/10新聞図書費890未払金890
2017/7/21通信費6,531未払金6,531
2017/8/10未払金7,421普通預金8,459
事業主貸1,038

事業用クレジットカード、プライベート用クレジットカードの使い分け

事業用クレジットカード:事業用銀行口座が引き落とし口座に設定されているクレジットカード

プライベート用クレジットカード:プライベート用銀行口座が引き落とし口座に設定されているクレジットカード

プライベート用口座から引き落とされるクレジットカードは事業用クレジットカードとは言えませんので注意してください。プライベート口座から引き落としされるカードを使って経費を支払う場合はすべて事業主借で処理しましょう。

1枚のクレジットカードで事業経費とプライベートをどちらも支払うと管理が手間になるので別々に分けるほうがおすすめです。

クラウド会計ソフトを使っていてクレジットカードが1枚の場合

クラウド会計ソフト等でクレジットカードを登録すると自動仕訳を起こすことが可能です。注意すべきケースは登録するクレジットカードが1枚で事業とプライベートの支払いが混在している場合。同じカードを自動仕訳すると貸方勘定科目が毎回同じになるので、未払金か事業主借を選ぶ必要があります。

引き落とし口座が事業用銀行口座:貸方勘定科目は未払金を設定
引き落とし口座がプライベート用銀行口座:貸方勘定科目は事業主借を設定

と、設定しておきましょう。引き落とし口座が事業用銀行口座の事業用カードを使ってプライベートの買い物をした場合もクレジットカード決済日に未払金の自動仕訳が発生してしまうので、発生した自動仕訳は削除します。

そのままにしているとプライベートの支出分だけ貸借がずれるので、口座引き落とし日の未払金を相殺する仕訳に、その一か月でプライベートに使った金額分だけ事業主貸を追加することを忘れないようにしましょう

自動仕訳機能があるクラウド会計ソフトを使う場合はよけいにクレジットカードは2枚に分けたほうが仕訳が楽になります。銀行口座についても事業用の銀行口座を開設しておくと自動仕訳の際に手間がかかりません。