修繕費とは【資本的支出との違い・判定フローチャート】

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修繕費とは

建物や車両など固定資産の修理や修繕にかかった費用は必要経費としてその年に一括計上することが認められます。この経費を「修繕費」と言います。

ただし、修理内容によっては固定資産の使用できる期間を延長させたり、固定資産の価値を上げる場合があります。この場合は修繕費ではなく「資本的支出」と呼ばれ、かかった費用を耐用年数に応じて減価償却する必要があります。

修繕費資本的支出
判定基準現状回復、現状維持、点検、修理、修繕のための費用使える期間を延ばしたり、購入時点よりも資産価値を向上させるための費用
経費処理支払った年の費用として一括計上固定資産の耐用年数に応じて減価償却
具体例
  • 破れたクロスの張替え

  • 水漏れの修理

  • 車の板金修理

  • 法改正対応のためのソフトウェアアップデート
  • 間取りの変更

  • 防犯カメラの設置

  • 車のホイールを高価なパーツに変更

  • 機能追加のためのソフトウェアアップデート
  • 修繕費と資本的支出の判定フローチャート

    修繕費になるか資本的支出になるかの判定は、以下のフローチャートで判定できます。

    修繕費と資本的支出のフローチャート

    資産価値向上の費用であっても20万円未満or3年以内の周期で発生する費用は修繕費に計上可能

    固定資産の使用できる期間を延長させたり、固定資産の価値を上げる場合は資本的支出に該当すると記載しましたが、フローチャートの通り、20万円未満の少額の場合と、3年以内の周期で定期的に発生する費用は資本的支出に該当する目的であっても修繕費に計上が可能です。

    とにかく20万円未満に抑えれば全額その年に経費計上可能なので、節税面では有利です。覚えておきましょう

    ①前期末取得価額

    前期末取得価額とは、固定資産を取得した価格に加えて、資本的支出があった場合にその金額を合計した金額を意味します。「前期末」の意味通りに確定申告をする年の前年度末時点で計算する金額です。

    500万円で購入した機械に改良のための100万円の資本的支出が1年前あった場合

    前期末取得価額 = 500万円 + 100万円 = 600万円

    ②割合区分(70%:30%ルール)

    フローチャートを進んでも修繕費か資本的支出か結論が出ない出費について、一貫して同じルールを適用することを条件として、以下のABどちらか金額の小さいほうを修繕費に、残りを資本的支出にすることができます

    A.支出額の30%
    B.前年末取得価額の10%
    前期末取得価額が600万円の機械に対して、80万円の修理を行った場合

    A.支出額の30% = 80万円 × 30% = 24万円
    B.前年末取得価額の10% = 600万円 × 10% = 60万円

    「A.支出額の30%」が小さいため、修繕費は24万円、残りの56万円が資本的支出となる。

    修繕費の仕訳・勘定科目

    例)事務所のフローリングが経年劣化で傷んでいたので張替えを行い、銀行口座から振り込んだ

    借方勘定科目金額貸方勘定科目金額摘要
    修繕費500,000普通預金500,000フローリング補修

    例)パソコンが故障したので修理代2万円を現金で支払った

    借方勘定科目金額貸方勘定科目金額摘要
    修繕費20,000現金20,000パソコン修理

    例)カーナビを現金30万円で購入して事業用の車両に取り付けた
    この場合は資本的支出になるので勘定科目は修繕費ではなく車両運搬具になります。

    借方勘定科目金額貸方勘定科目金額摘要
    車両運搬具300,000現金300,000カーナビ