車両運搬具とは【耐用年数表・減価償却の仕訳例・中古車の場合】

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  • 車両運搬具とは、事業のために陸上で人や物を運ぶ車両や運搬具を指す。具体的には乗用車、トラック、バイク、リヤカーなどが該当する。
  • 車両運搬具を購入した場合は固定資産に計上した後、耐用年数に応じて減価償却が必要。新車の場合、普通自動車の耐用年数は6年、軽自動車は4年。
  • 車両運搬具購入時の各種税金、自賠責保険や登録届出費用等の車両以外に発生する費用は、租税公課や保険料、支払手数料等の勘定科目で仕訳する。

車両運搬具とは・具体例

車両運搬具とは、事業のために陸上で人や物を運ぶ車両や運搬具のことを指します。「陸上」と限定したのは、フェリーやヨット、モーターボードなど船全般は「船舶」、飛行機やヘリコプターは「航空機」と異なる勘定科目で処理するからです。

当然ながら、個人事業主も法人も事業用に購入・使用している車両のみを経費計上できます。個人事業主で車を事業用とプライベート用の両方に使っている場合などは利用割合に応じて家事按分することが可能です。

関連記事:家事按分とは

車両運搬具の具体例

  • 普通自動車
  • 軽自動車
  • バイク
  • 自転車
  • トラック
  • 軽トラ
  • ダンプカー
  • トラクター
  • バス
  • クレーン車
  • 台車
  • リヤカー
  • ごみ収集車
  • トロッコ
  • 鉄道車両

車両運搬具の耐用年数表

車両運搬具を購入した場合は固定資産に計上します。固定資産には耐用年数が決まっているのでそれに応じて毎年減価償却して費用計上する仕組みです。なお、減価償却については確定申告の減価償却に詳細をまとめています。

以下に、主な車両運搬具について新車の耐用年数をまとめました。

用途車両運搬具の種類詳細区分耐用年数
一般用自動車(2輪・3輪除く)普通自動車6
軽自動車(排気量が660cc以下の車)4
貨物自動車(ダンプ式)4
貨物自動車(その他)5
報道通信用車5
2輪・3輪自動車(バイク)3
自転車2
リヤカー4
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用自動車(2輪・3輪含む、乗合自動車を除く)普通自動車4
小型車(貨物自動車の場合は積載量が2トン以下、貨物自動車以外の場合は総排気量が2リットル以下)3
大型車(排気量3,000cc以上)5
乗合自動車5
自転車、リヤカー2
被けん引車その他4

中古車の耐用年数について

まずは結論として、中古車の耐用年数表は以下になります。注意点は中古車を新車の半額以上で購入するケースで、この場合の耐用年数は新車と同じになってしまうので節税に不利となります。

新車登録からの経過年数1年2年3年4年5年6年以上
新車の50%未満の金額で購入した中古の軽自動車322222
新車の50%以上の金額で購入した中古の軽自動車444444
新車の50%未満の金額で購入した中古の普通自動車543222
新車の50%以上の金額で購入した中古の普通自動車666666

耐用年数の計算式はこちら。普通車であれば6年落ちの車は「法定耐用年数を過ぎた中古車」となります。

新車登録からの経過年数計算式
法定耐用年数を過ぎた中古車法定耐用年数×20%
法定耐用年数の途中の中古車法定耐用年数 - (経過年数 × 0.8)
上記の計算結果に追加される計算ルール

  • 1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て
  • 耐用年数が2年に満たない場合には2年とする
6年落ちの普通車の耐用年数 = 6 × 20% = 1.2年 ⇒ 2年未満のため2年
2年落ち軽自動車の耐用年数 = 4 – (2 × 0.8) = 2.4 ⇒ 切り捨てして2年

4年落ちの中古車は耐用年数が2年であり、耐用年数2年の定率法の償却率は1であるため、購入金額を全額経費計上することが可能です。

車両運搬具の購入時・減価償却・売却時の仕訳例

216万円の商用車を新車で購入。その他費用として、自賠責保険2万円、自動車取得税など税金が10万円、リサイクル預託金1万円、届出や書類作成など手続代行費用が5万円かかり、銀行振り込みでディーラーに支払った場合。
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
車両運搬具2,160,000普通預金2,340,000
租税公課100,000
保険料20,000
預託金10,000
支払手数料50,000

なお、以下のように自動車取得税や登録手続き費用などは車両運搬具に含めて減価償却(=分割費用計上)してもよいですし、上記仕訳のとおり全額費用計上してもよいことになっていますが、全額費用計上したほうが節税になります。

車両運搬具に含める付随費用・エアコン、カーナビ、ルーフレールなど車の付属品の費用
・販売店に支払う販売諸費用
費用計上or車両運搬具に含めるか選択可能な付随費用・自動車取得税
・登録手続費用・車庫証明手続等登録関係の諸費用(法定費用)
費用計上 ・自動車税
・自動車重量税
・自賠責保険料
毎月30,000円減価償却するの仕訳
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
減価償却費30,000車両運搬具30,000
216万円で購入した商用車を4年使用後、100万円で売却した場合
購入時は216万円の固定資産が、4年間で144万円減価償却されたので売却時の帳簿価格は72万円になっています。
購入時帳簿価格2,160,000
リサイクル預託金10,000
減価償却累計額1,440,000
売却時帳簿価格720,000
売却価格(リサイクル預託金含む)1,000,000
個人の場合、売却益は事業所得とは分ける必要があるため、事業主借で計上します。法人の場合は固定資産売却益の勘定科目を利用します。
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
普通預金1,000,000車両運搬具720,000
預託金10,000
事業主借270,000

なお、売却で損が出た場合、借方に事業主貸で売却損を計上します。法人の場合は固定資産売却損の勘定科目を使用します。