家事按分とは【家賃等の仕訳例・比率・目安】

本記事では家事按分について、家事按分とは、家賃や車、水道光熱費の按分比率の目安の考え方、仕訳例3パターンについてまとめています。

家事按分とは

個人事業主は法人に属するサラリーマンと違い、例えば事務所兼自宅の家賃支払いなど、事業経費とプライベート支出を一体となって支払う場面があります。このような事業とプライベートが混在した支出を家事関連費といいます

家事関連費は事業として使った割合だけを経費計上することができます。例えば自宅兼事務所の家賃が10万円で、事務所として30%利用している場合は3万円を経費計上することができます。

このように、支払金額を事業経費とプライベートに分けることを「家事按分」と言います。家事按分は按分比率によって決まりますが、按分比率について明確な基準はありません。事業として使ったと明確に主張できる比率を経費計上することになります。

家事按分は青色申告と白色申告で若干建前が異なります。青色申告は明確に説明できる場合は事業に使った分の割合を計上できるルールになっている一方、白色申告では家事関連費の半分以上が事業目的でないと計上できないという建前になっています。

【家事按分の代表例】
・事務所兼自宅の家賃(賃貸の場合)
・事務所兼自宅の建物、減価償却費(持ち家の場合)
・水道光熱費(電気・水道・ガス)
・通信費(携帯電話料金・WIFIルーター・インターネット回線料金・固定電話料金)
・車関連費用(車両本体・ガソリン代・駐車場代・保険料)

家事按分の比率の目安

家事按分の比率には国税庁のガイドラインのような目安はないので、個人事業主のみなさんがどのぐらい事業として使用しているか?ということをそれぞれの経費で検討する必要があります。

一つの判断軸として、自分が主張しようとしている家事按分比率について、あなたが会社の社長だとして、従業員が社長の自分に対して主張されたときにどう思うか?という視点は一つの目安になると思います。

例えば従業員のプライベートの車を社用としても使う制度を導入したとすると、月~金は仕事で土日はプライベートで使うはずなので、「最大でも7分の5までが経費として妥当だ」となるはずです。

いくら自分が90%経費だと思っていても90%で説明がつかない内容は税務調査の際に家事按分比率を下げられる=追徴納税されることになります。

家賃の家事按分比率の目安

家賃の場合は事業に使用している面積で比率を計算することが多いですが、場合によっては時間で家事按分することもあります。

家賃15万円、60平米のマンションで15平米の一部屋を事業用として使っている場合

15平米 ÷ 60平米 = 25%
経費計上額 = 150,000円 × 25% = 37,500円

家賃15万円、60平米のマンションで40平米のリビングダイニングの一部を事業用として使っている場合

まず、リビングダイニングの一部のどれだけを事業用として使っているかを合理的に説明する必要があります。ダイニングテーブルで仕事をしていると食事でも使うはずなので明確な説明が難しくなります。

例えば、ダイニングテーブルの面積を算出して、事業で使用している時間と食事で使用している時間でさらに按分するような話だと説明になりそうですが、これだと家事按分比率が時間でかける分だけ低くなってしまうでしょう。

つまり、事業スペースは何等か明確に切り分けしておいたほうがしっかり経費計上することができると言えます。

家賃10万円、30平米のワンルームマンションを自宅兼事務所としながら、取引先やコワーキングスペースでも働いているフリーランスエンジニアの場合

この場合は面積ではなく時間で家事按分するという考え方のほうが合理的と考えられます。一日のうち自宅で作業する時間が平均5時間であれば24時間分の5時間=20.8%となるので、20,800円を経費計上します。

持ち家の家事按分比率の目安

持ち家の場合は賃貸の家賃と同様に、面積や時間に応じて家事按分比率を決めます。ポイントは、住宅ローンの元本は経費にならない点。経費になるのは、自宅の減価償却費と住宅ローンの金利、火災や地震などの保険料、固定資産税です

また、事業用として経費計上する部分については住宅ローン控除の対象外となります。どちらが節税になるかは計算してみないとわかりませんが、案外100%プライベートとして住宅ローン控除を受けるほうが割安な場合が多いと言われています。

車の家事按分比率の目安

車に関する費用は車両購入費、カーナビ購入費用、駐車場代、ガソリン代、高速料金、洗車代、車検費用、修理費用、自動車保険料、自動車取得税、重量税、固定資産税、ローンの手数料(利息)などがあります。

家事按分比率の目安は、走行距離や使用日数を基準にすることが多いです。よくあるケースは平日5日は仕事であれば5/7でだいたい70%を計上するパターンです。

水道光熱費の家事按分比率の目安

電気代は時間やコンセント数を基準に計算することが一般的です。時間であれば家賃と同じように作業時間に応じた割合で、コンセント数は例えばパソコン、モニター、ルーター等ネットワーク機器、プリンター、仕事部屋のエアコン等のコンセント数とプライベート家電のコンセント数で按分します。

ガスや水道料金は家事按分して経費に計上することが少ないかもしれません。ヘアサロンでや飲食店で調理でガスや水を大量に使う等の水準でないと、オフィスでお客さんにお茶を出す程度ではほぼ事業に使っているとは言えません。

家事按分の仕訳例

家事按分の仕訳は「①プライベート口座で支払う場合」と「②事業用口座で支払う場合」で異なります。また、会計ソフトを利用している場合は、「③事業用口座で支払う場合で年度末にまとめて処理」することもできます。

ここでは以下の例を①②③のパターンで仕訳を見ていきましょう。

毎月10万円の家賃のうち3万円を経費計上する場合

①プライベート口座で支払う場合の家事按分の仕訳例

プライベートで口座で支払う場合は事業主の自分がプライベートの自分からお金を借りていることになるので、普通預金や現金ではなく事業主借で処理します。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/1/31地代家賃30,000事業主借30,000

②事業用口座で支払う場合の家事按分の仕訳例

事業用口座で支払う場合、貸方は事業用口座=普通預金、借方は事業の3割を地代家賃として経費計上しプライベートの7割を事業主の自分からプライベートの自分に課しているお金=事業主貸として処理します。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/1/31地代家賃30,000普通預金100,000
事業主貸70,000

③事業用口座で支払う場合で年度末にまとめて処理する場合の家事按分の仕訳例

まず、一年間を通していったん全額を地代家賃として経費計上します。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/1/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/2/28地代家賃100,000普通預金100,000
2017/3/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/4/30地代家賃100,000普通預金100,000
2017/5/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/6/30地代家賃100,000普通預金100,000
2017/7/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/8/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/9/30地代家賃100,000普通預金100,000
2017/10/31地代家賃100,000普通預金100,000
2017/11/30地代家賃100,000普通預金100,000
2017/12/31地代家賃100,000普通預金100,000

期末に家事按分処理として、プライベート分の7割を事業主貸で地代家賃を相殺します。年間を通じてみると結果は②と同じですが仕訳作業としては③のほうが楽でしょう。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
2017/12/31事業主貸840,000地代家賃840,000

やよいの青色申告オンラインやMFクラウド確定申告を導入している場合は③のパターンで毎月仕訳を作っておき、期末処理で勘定科目・補助科目別に家事按分比率を設定できるので、パーセンテージを入力します。

MFクラウド確定申告の家事按分比率の設定画面

すると、このように期末の家事按分仕訳が作成されますので手間がかかりません。補助科目単位で按分比率を設定できるので、通信費でも携帯電話料金とインターネット回線料金で按分比率が異なる場合は補助科目を分けて仕訳しておきましょう

期末の家事按分処理