白色申告と青色申告の違い【比較表・白色⇒青色変更方法】

本記事では白色申告と青色申告の違いについて、控除額、記帳方法、提出書類等基本的な違い、手間の違い、選択できる人の違い、節税面の違い、白色申告から青色申告に変更する際に提出する書類についてまとめています。

白色申告と青色申告の基本的な違い

確定申告には白色申告と青色申告の二種類の方法があり、青色申告には10万円控除と65万円控除の二種類の方法があります。これら三種類の申告方法は記帳方法と控除額、提出書類に違いがあります。

白色申告と青色申告の記帳方法、控除額、提出書類の違いをまとめるとこちらの表のようになります。

 白色申告青色申告
青色申告特別控除なし10万円65万円
記帳単式簿記単式簿記複式簿記
提出書類確定申告書
収支内訳書
確定申告書
青色申告決算書
確定申告書
青色申告決算書

控除額の違い

青色申告には青色申告特別控除という制度があり、青色申告をするだけで10万円もしくは65万円を所得額から控除することができるため、節税につながります。一方、白色申告にはこの制度がないため、税金を多く払う必要があります。

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記帳方法の違い

個人事業主の確定申告のためには日々の取引明細について帳簿付けが必要です。帳簿付けの方法には家計簿に近い感覚の「単式簿記(簡易簿記)」と、より複雑にはなりますが事業の状況を正確に把握できるようになる「複式簿記」の二種類が存在します。

白色申告では平成25年(2013年)12月までは所得が300万円以下の人は記帳義務がありませんでしたが、平成26年(2014年)1月以降の取引からは記帳が義務化されました。この白色申告の最大のメリットがなくなってしまったため、白色申告を選択する理由はほぼなくなったと言えます。同じ単式簿記であれば10万円控除が使える青色申告のメリットのほうが大きいでしょう。

関連記事:複式簿記・単式簿記とは

提出書類の違い

確定申告書:白色申告と青色申告で違いはありません。どちらも提出が必要です。
収支内訳書・青色申告決算書:白色申告の人は収支内訳書、青色申告の人は青色申告決算書を提出します。

いずれも会計ソフトを導入して記帳していれば自動で申告書類を出力できるので提出書類にかかる手間は白色申告と青色申告で同じです。

関連記事:青色申告決算書とは

白色申告と青色申告で手間はどの程度違うか

白色申告に比べて青色申告は手間がかかるイメージがあると思いますが、結論としては「手間はほぼ同じ」となります。上記で開設した記帳の違いをもう少し細かく見ていきましょう。

記帳の方法は単式簿記と複式簿記以外に、発生主義・現金主義という考え方があります。白色申告と青色申告の記帳方法の違いをまとめたものが以下の表です。

青色・白色発生・現金簿記形式控除
白色申告発生主義簡易簿記(単式簿記)なし
青色申告現金主義10万円
発生主義
発生主義複式簿記65万円

つまり、白色申告と青色申告10万円控除は全く同じ作業をすることになるため、白色申告を選ぶメリットは全くありません。単式簿記と複式簿記の作業には違いがありますが、複式簿記を採用すると65万円控除の大きな節税効果があります。

また、日々の記帳の結果を確定申告書や収支内訳書や青色申告決算書に集計する作業は会計ソフトがボタン一つで実行してくれます。この点も含めて、手間を考えても白色申告のメリットはほとんどないと言えます。

白色申告と青色申告を選択できる人の違い

誰でも青色申告ができるかというと、所得区分(どんな手段で所得を得ているか)によって青色申告できるものが決まっています。青色申告は「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の3つに限定されています

サラリーマンがアフィリエイトなどの副業をしている場合でも、相応の事業規模がある場合は個人事業主と同じように事業所得として申告することが可能です。「相応の事業規模」とは、継続的に事業を継続していて収入があることや組織や設備が整っていること、一般的に職業として認知されていること等が条件となります。

所得区分白色申告青色申告
事業所得
不動産所得
山林所得
雑所得×
一時所得×
給与所得×
退職所得×
譲渡所得×
利子所得×
配当所得×

白色申告と青色申告の節税面の違い

白色申告と青色申告には節税面で大きな違いがあります。青色申告は「正確な記帳をする分、税制面でメリットを与えますよ。」という制度なので、青色申告者は白色申告者と比べて大きく節税することが可能です。

節税メリット白色申告青色申告
青色申告特別控除なし10万円
65万円
損失の繰り越し以下に該当する部分のみ繰り越し可能
・所得が変動所得(漁業の漁獲高や養殖による所得、印税、原稿料、作曲料など)である場合
・災害により商品や店舗、機械、山林等に被害が出た場合。
事業で赤字が出た年は翌年以降3年間繰り越しが可能。黒字の年度と相殺して黒字の年度の税金を減らすことが可能。
家族への給料専従者控除として固定額を控除可能。配偶者は86万円、配偶者以外の親族は50万円。専従者給与として専従者に支払った給与が全額経費計上可能。
資産の一括償却10万円未満であれば購入した年に一括経費計上が可能。少額減価償却資産の特例により、30万円未満であれば購入した年に一括経費計上が可能。
※平成32年(2020年)3月31日までの間に取得した資産に適用
棚卸資産の評価方法購入時点の原価として評価。低価法による評価が可能。低価法とは、購入時点の原価と期末の時価の低いほうを選ぶことができる評価方法。
貸倒引当金の設定個別貸倒引当金の適用。個別貸倒引当金と、個別貸倒引当金を設定した内容以外に一括貸倒引当の適用が可能。

青色申告特別控除

何度も出てきている項目なのでここでは説明を割愛します。詳細は青色申告特別控除とは参照。

損失の繰り越し

期末で所得額を計算した際、売上よりも経費が多く赤字になってしまった場合は赤字として確定申告することになります。この時、青色申告では当年度の赤字を繰り越して翌年以降の黒字と相殺することができます。相殺した分だけ節税につながるため、開業した初年度など赤字が出る可能性がある人は青色申告を選択しましょう。

家族への給料

家族への給料は白色申告では固定で86万円・50万円になり、青色申告では支払った給与全額が経費計上可能です。全額経費計上が可能とはいえ、妥当な範囲を超える場合は否認の可能性があります。また、多く給料を払うと給与所得に対して会社員のように税金ががかかってくるので金額設定はある程度検討が必要です。

専従者給与について詳細は青色事業専従者給与とはを参考にしてください。

資産の一括償却

不動産や機械など資産に分類される物を購入・取得した場合は資産計上して減価償却する必要があります。減価償却して資産価値を減らした分だけ経費計上が可能となるので、なるべく早い時期で資産価値を減らすことができると経費計上を前倒しすることができます。

白色申告では10万円未満の減価償却については一括償却可能である一方、青色申告では30万円未満まで一括償却の上限が上がるため、経費計上を前倒ししやすいメリットがあります。

関連記事:確定申告の減価償却

棚卸資産の評価方法

商品の在庫がある商売などの場合は期末に棚卸資産の残高を計算します。例えば、原価100万円の商品の時価が80万円だとすると、白色申告では棚卸資産は100万円と計算し、青色申告では原価100万円と時価80万円の低いほうの80万円が採用されて差額の20万円を商品評価損として経費計上することが可能です。

貸倒引当金の設定

取引先に掛け売りをしている場合は毎月売掛金が発生します。またお金を貸す場合は貸付金が発生します。そしてこれらの債権について、取引先の倒産などでお金が帰ってこないリスクがあります。

このリスクに対して、債権残高の一定割合を引当金として計上している金額を貸倒引当金と呼びます。

個別貸倒引当金:貸し倒れが確実と考えられる内容に限定して個別に貸倒引当金を設定して経費計上することが可能。
一括貸倒引当金:期末に残っている売掛金や貸付金の総額の5.5%(金融業は3.3%)を経費計上可能。

白色申告から青色申告に変更する場合は用紙の提出が必要

結論は、青色申告が手間の割に圧倒的に得であるため、青色申告がおすすめです。白色申告から青色申告に変更するには、青色申告に変更したい年の3月15日までに、青色申告承認申請書の提出が必要です。3月15日を過ぎている場合は翌年以降となります。

ポイント①:記帳や確定申告の手間は会計ソフトを導入するとほぼ変わらない
ポイント②:青色申告の節税メリットが非常に大きい
ポイント③:青色申告は事業所得、不動産所得、山林所得限定