個人事業主の主な税金5種類
税金の種類 | 確定申告 | 区分 | 納付先 | 納付時期 |
---|---|---|---|---|
所得税 | あり | 国税 | 税務署 | 2月16日~3月15日 |
住民税 | なし | 地方税 | 市区町村役場 | 第1期:6月 第2期:8月 第3期:10月 第4期:翌年1月 |
個人事業税 | なし | 地方税 | 都道府県税事務所 | 第1期:8月 第2期:11月 |
国民健康保険税 | なし | 地方税 | 市区町村役場 | 6月~翌年3月まで毎月(自治体で異なる) |
消費税 | あり | 国税 | 税務署 | 2月16日~3月15日 |
個人事業主が支払うべき主な税金は所得税、住民税、個人事業税、国民健康保険税、消費税です。以下の詳細では5種類の税金の概要、納付時期、納付先、計算方法についてわかりやすく解説しています。
個人事業主は税金を自ら計算して支払う義務がある
会社員の人がフリーランスになったり副業で個人事業を始める場合、サラリーマンと大きく違うのは税金の支払いです。サラリーマンは給与から天引きで会社がまとめて税金を納めてくれる一方、個人事業主は自分で税金を計算して支払う必要があります。
実際の税金の支払いは確定申告すればOK
税金には国税と地方税がありますが、基本的には国税の所得税と消費税について税務署で確定申告して税金を納めると、税務署から地方自治体に共有された所得額等を元に計算された地方税の納付書が自宅に通知される仕組みになっています。
個人事業主の主な税金5種類
以下の5種類が個人事業主が納めるべき主な税金になります。所得税と消費税は国税、住民税と個人事業税と国民健康保険税は地方税に分類されます。
税金の種類 | 確定申告 | 区分 | 納付先 | 納付時期 |
---|---|---|---|---|
所得税 | あり | 国税 | 税務署 | 2月16日~3月15日 |
住民税 | なし | 地方税 | 市区町村役場 | 第1期:6月 第2期:8月 第3期:10月 第4期:翌年1月 |
個人事業税 | なし | 地方税 | 都道府県税事務所 | 第1期:8月 第2期:11月 |
国民健康保険税 | なし | 地方税 | 市区町村役場 | 6月~翌年3月まで毎月(自治体で異なる) |
消費税 | あり | 国税 | 税務署 | 2月16日~3月15日 |
所得税
税金の中で最も負担が大きいのが所得税です。1月1日から12月31日までの1年間で生じた所得(売上-経費)に対する税金です。所得の種類に応じて控除額や課税負担額が異なり、個人事業主は自己申告で納税します。この自己申告を確定申告と言います。
住民税
住民税は所得税の確定申告をすると自動的に計算されて納税額が通知されてくる地方税になります。住民税は道府県民税と市町村民税の合計した額を各市町村に支払います。
毎年6月に確定した税金の額が通知され、一括払いもしくは6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて支払います。最近サラリーマンにも人気のふるさと納税をすると住民税から控除されます。
個人事業税
個人事業税は個人事業を営んでいることに対する税金で、確定申告で計算した所得が290万円を超える人だけが課せられます。個人事業税も所得税の確定申告をすると自動的に税金が計算されて8月に納付書が届きます。
業種によって税率が異なり、3%~5%になりますが大部分の業種は5%です。
国民健康保険税
会社員は会社単位で加入している社会保険がある一方、個人事業主は国民健康保険に加入する義務があります。国民健康保険税(国民健康保険料)は所得金額をもとに市区町村が計算した金額を通知してきます。
国民健康保険税は一般的に社会保険料よりも高額になることが多く、元々会社員だった人は2年間に限り社会保険の任意継続が可能なのでサラリーマンから個人事業主になることを検討している人は必ず金額をチェックしましょう。
消費税
消費税は誰にでもおなじみの税金ですが、個人事業主は売上に対して8%(2017年現在)を上乗せした金額を請求し、最終的に国に治める必要があります。つまり、売上と同時に税金を一時的に預かるイメージです。
消費税は売上で預かる一方、仕入が発生すると仕入先に払う(=一時的に預ける)ことになります。1年間の預かった消費税と払った消費税を相殺して預かった金額が多い場合は納税を、支払った額が多い場合は消費税還付があります。
消費税の確定申告は課税売上高が1,000万円を超える個人事業主に限られます。詳細は個人事業主の消費税の記事を参考にしてください。
各種税金の計算方法
所得税の計算方法
課税所得金額 = 売上 - 経費 - 所得控除
所得税の計算は、課税所得金額を計算するところから始めます。一年間の売上を計算し、そこから仕入の原価や青色専従者給与など従業員への給与、旅費交通費や通信費、接待交際費等の経費を引き算します。そこから基礎控除や医療費控除、社会保険料控除などの所得控除を引きます。
年間の経費456万円
所得控除は基礎控除の38万円のみ
506万円 = 1,000万円 - 456万円 - 38万円
所得税額 = (課税所得金額 × 税率) - 税額控除
課税所得金額が計算できたら、その金額に応じた税率を掛け算します。税率は以下のテーブルのように課税所得金額が高くなると税率も段階的に高くなる形をしています。
課税所得金額 | 税率 | 控除額(税額控除) |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
102,500円 = (200万円 × 10%) - 97,500円
572,500円 = (500万円 × 20%) - 427,500円
1,204,000円 = (800万円 × 23%) - 636,000円
所得税計算については個人事業主の所得税計算に図解でわかりやすく説明しています。
住民税の計算
住民税額 = 均等割 + 所得割
住民税は上記の計算式の通り、「均等割」と「所得割」の合算値になります。均等割は収入に関係なく一律課税され、地方自治体によって異なりますがだいた5,000円前後になります。
所得割 = (所得金額 - 所得控除額) × 税率 - 税額控除額
一方所得割は上記の計算式になります。注意点は住民税の所得金額が所得税の課税所得金額とは異なる点です。必ず異なる例としては、所得控除の基礎控除が所得税は38万円に対し住民税の所得金額を計算する時は33万円になります。
個人事業税の計算
個人事業税額 = (売上 - 経費 - 事業主控除 - その他控除) × 税率
個人事業税を計算する場合も所得税の課税所得金額の計算とは少し異なります。個人事業税を計算する場合は事業主控除(290万円固定)を必ず計算に入れます。つまり、売上-経費が290万円以下の個人事業主は個人事業税を払う必要がありません。
また、計算式の「その他控除」の部分は「損失の繰越控除」「被災事業用資産の損失の繰越控除」「譲渡損失の控除と繰越控除」の3種類のみで、青色申告をしていても青色申告特別控除の10万円や65万円は適用されません。
国民健康保険税の計算
国民健康保険税額 = 均等割 + 所得割
均等割、所得割の2つとも「基礎分(医療分)」「後期高齢者支援金分」「介護分」の3つの区分にさらに分解して計算されます。
消費税の計算
消費税額 = (課税売上高 × 8%) - (課税仕入高 × 8%)
消費税の計算は、受け取った消費税額から支払った消費税額を引き算して受け取った額が大きければその分を納税、支払った額が多ければその分を申告すると消費税が還付されます。詳細は個人事業主の消費税の記事を参考にしてください。
課税売上高は課税事業者と免税事業者で計算方法が異なるなど、所得税の計算で出てくる売上とは異なります。