白色申告のメリットをまとめると以下のようなポイントがあげられます。
一方、白色申告のデメリットは以下のようなポイントになります。
デメリット①:65万円の青色申告特別控除が適用されない分税金が高い
デメリット②:赤字の年度の損失繰り越しができない
デメリット③:専従者がいる場合、支払った給与(専従者給与)の額面ではなく固定で控除額が決まっているため節税効果が低い
デメリット④:高額の消耗品などを購入した場合、青色申告と比べて一括で経費計上できる上限が低い
白色申告のメリットを詳しく解説
メリット①:開業時に提出する書類は開業届のみでよい
個人事業主の開業において、白色申告を選択する場合は全員提出必須の書類の開業届のみとなります。つまり白色申告者は書類作成の手間が軽いというメリットがあります。
一方、青色申告で確定申告しようとすると追加で所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。開業日から所定の期日までに提出する必要があり、期日を過ぎるとその年は白色申告しか選択できません。期日について、詳しくは個人事業主の開業を参照してください。
メリット②:白色申告の帳簿は単式簿記(簡易簿記)でよいので手軽
帳簿づけの方法は複式簿記と単式簿記(簡易簿記)の2種類の方法がありますが、白色申告の場合は家計簿い近い感覚の単式簿記(簡易簿記)でよいので、複式簿記と比べると記帳の手間がかかりません。
複式簿記の考え方は初心者にとって少し難しいので、自分で初めて確定申告をする場合は確実に白色申告のほうが簡単だと思います。複式・単式と混同しやすい考え方として発生主義と現金主義という概念があります。
白色申告は青色申告と同様に発生主義での記帳が必要なのでこちらも考え方を理解しておきましょう。
メリット③:青色申告決算書と比べると収支内訳書の作成は手間が少ない
上の記帳方法と通じる話になりますが、一年間の記帳した結果の白色申告提出書類である収支内訳書は、青色申告提出書類の青色申告決算書と比べると多少手間が少ないです。
理由は収支内訳書には貸借対照表(資産、負債、資本)のページがないことがあげられます。白色申告では単年の売上と費用と利益だけを計算すればよく、過去からの事業の累積の数字、つまり資産や負債や資本がいくらあるかを計算する必要はありません。
そもそも、単式簿記は基本的に現預金の出入りを記帳するものであるため、例えば固定資産の減価償却を表現することができません。一方複式簿記はルールに従って仕訳を作成するだけで年度末に自動的に貸借対照表が作成されます。
白色申告のデメリットを詳しく解説
デメリット①:65万円の青色申告特別控除が適用されない分税金が高い
青色申告の最大の特典として、65万円の青色申告特別控除という制度があります。
これは、税金から65万円引きますよという意味ではなく、税率をかける前の所得から65万円差し引くよという意味になります。具体的には例えば以下のような差が出てきますが、白色申告は単純に税金が高いデメリットがあります。
白色申告の場合:500万円 × 20% = 所得税100万円
青色申告の場合:(500万円 - 65万円) × 20% = 所得税87万円
65万円控除を受けるためには、複式簿記・発生主義で帳簿づけして、貸借対照表と損益計算書を作成する必要があります。
デメリット②:赤字の年度の損失繰り越しができない
青色申告をすると赤字を3年間繰り越すことができます。特に、事業を始めたばかりでしばらく赤字が続くような個人事業主にとってはありがたい制度です。
一方、白色申告では赤字を繰り越すことができません。1年目に赤字1000万円、2年目に黒字500万円であれば青色申告の場合は2年目も所得税がかかりませんが、白色申告の場合は500万円の利益に対する所得税が発生します。
金額が大きくなるとかなりの差になってくるので、規模感が大きいビジネスを個人事業でやろうと考えている人は青色申告にしたほうがよいでしょう。
デメリット③:専従者がいる場合、支払った給与(専従者給与)の額面ではなく固定で控除額が決まっているため節税効果が低い
まず専従者とは、奥さんや子どもや親族などの一緒に生活している親族で個人事業に専属で働いてくれている人のことになります。
専従者に給与を支払う場合、青色申告は支払った給与を全額個人事業の経費にできる一方、白色申告では固定額しか経費計上できません。
専従者にできる条件や金額については専従者給与とはを参照してください。
デメリット④:高額の消耗品などを購入した場合、青色申告と比べて一括で経費計上できる上限が低い
パソコンなどの高額な消耗品を購入した場合は、購入した年に全て経費計上するのではなく、何年かに分割して経費計上することになります。これを減価償却といいます。
白色申告の場合は10万円以上のものを購入した場合は減価償却が必要になりますが、青色申告の場合は「少額減価償却資産の特例」という制度により、30万円未満まで一括経費計上が認められます。
なるべく早く経費計上したほうが納める税金を早く削減できるため、キャッシュフローが良くなるメリットがあります。高額経費の支出が多いことが考えられる個人事業主は白色申告ではなく青色申告のほうがメリットが大きいでしょう。