発生主義・現金主義とは【比較・仕訳例】

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本記事では発生主義と現金主義について、発生主義会計とは、現金主義会計とは、クレジットカードの仕訳、青色申告と白色申告の条件、控除額の違い、メリットデメリットをまとめています。

発生主義とは?現金主義とは?

発生主義とは、「お金が動くことが確定したタイミングで売上や費用を計上する」会計処理です。

現金主義とは、「お金が実際に動いたタイミングで売上や費用を計上する」会計処理です。

発生主義と現金主義が一致する場合

例えばパン屋さんがお店に並べているパンをお客さんに売ってレジで代金を受け取る場合は売上が確定するタイミング(この場合は8/1)と、お金が動くタイミング(この場合は同じく8/1)が一致しています。

この場合の仕訳は発生主義と現金主義で同じになります。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
8/1現金300売上高300

発生主義と現金主義が一致しない場合

同じようにパン屋さんが学校に掛け売りでパンを納品して、月末に代金を振り込んでもらう場合は売上が確定するタイミング(この場合は8/1)と、実際のお金が動くタイミング(この場合は8/31)が異なります。

発生主義では8/1に売上が確定しているので以下のような仕訳になります。発生主義では売掛金や買掛金、未払金や未収金、減価償却費など現金の移動が伴わない仕訳を起こすことができます。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
8月1日売掛金100,000売上高100,000
8月31日現金100,000売掛金100,000

一方、現金主義はお金が実際動いたタイミングで売上を計上するので以下のような仕訳になります。現金主義では発生主義のような現金の移動が伴わない仕訳を起こすことができないので、掛け売りの残高がいくらなのかわからなかったり、固定資産がある場合は製造や購入時点で一括費用計上されてしまうため正確な損益計算の期間比較が不正確になるなどのデメリットがあります

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
8月1日現金100,000売上高100,000

クレジットカードを使用した場合の発生主義・現金主義の仕訳

2017年7月13日にクレジットカードで携帯料金を7,800円支払って2017年8月25日に引き落としされた場合

発生主義の場合

発生主義の場合はクレジットカードを使用した日付で未払金の仕訳を起こします。そして引き落とし日に未払金を現預金で相殺する仕訳を記帳します。発生主義のクレジットカードの仕訳は個人事業主のクレジットカード決済の仕訳3パターンを参考にしてください。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
7月13日通信費7,800未払金7,800
8月25日未払金7,800普通預金7,800

現金主義の場合

現金主義の場合はクレジットカードを使用した日は仕訳がありません。引き落とし日(=お金が動くタイミング)のみ仕訳を記帳します。

日付借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
8月25日通信費7,800普通預金7,800

現金主義で青色申告すると青色申告特別控除は10万円

青色・白色発生・現金簿記形式控除
白色申告発生主義簡易簿記(単式簿記)なし
青色申告現金主義10万円
発生主義
発生主義複式簿記65万円

発生主義と現金主義などの記帳方法による控除額の違いをまとめました。個人事業主の確定申告は原則発生主義で、「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出した青色申告者のみ現金主義の記帳が認められています

現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書は個人事業主の開業時に青色申告承認申請書と合わせて提出する必要があります。

さらに、現金主義を採用してもOKなのは売上規模が小さい個人事業主に限られ、具体的な基準は「2年前の不動産所得+事業所得(*)の合計が300万円以下の個人事業主」になります

*専従者給与を支払っている場合はその金額は経費に入れずに計算する事業所得。例えば事業所得は250万円だが専従者給与として100万円支払っている人は上記の定義だと350万円となるので現金主義は採用できません。

いずれにしても現金主義で青色申告をすると控除額が少ないので、発生主義&複式簿記で65万円の青色申告特別控除を狙いましょう。複式簿記については、複式簿記・単式簿記の仕訳例・書き方を参考にしてください。