青色申告のメリットをまとめると以下のようなポイントがあげられます。
メリット①:最大のメリットは65万円の青色申告特別控除
メリット②:青色申告者は赤字を3年間繰り越し可能
メリット③:専従者給与を全額経費計上することができる
メリット④:30万円未満の物品まで一括経費計上できる
一方、青色申告のデメリットは以下のようなポイントになります。
デメリット①:開業時に提出する書類が多く手間がかかる
デメリット②:帳簿づけが青色申告初心者には難しい。簿記の知識が必要
青色申告のメリットを詳しく解説
メリット①:最大のメリットは65万円の青色申告特別控除
青色申告の最大のメリットは65万円の青色申告特別控除です。青色申告で複式簿記、発生主義の帳簿づけをした上で青色申告決算書を作成すると、所得から無条件で65万円を控除することができます。
ただし、複式簿記はある程度簿記の知識が必要になるので個人事業主一年目など簿記初心者の人には少々とっつきにくいかもしれません。家計簿のような単式簿記(簡易簿記)で青色申告をすることもできますが、その場合は10万円の控除になります。
白色申告の場合:500万円 × 20% = 所得税100万円
青色申告の場合:(500万円 - 65万円) × 20% = 所得税87万円
メリット②:赤字を3年間繰り越し可能
青色申告は赤字を出してしまった年度の損失額を翌年以降に繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できるというメリットがあります。
赤字が出ている場合は確定申告をする義務はありませんが、青色申告の場合は確定申告をすることで赤字である証拠を税務署に残すことができるので必ず損失申告をしましょう。
個人事業の開業初年度など、売上よりも初期投資が大きくて赤字になりそうな場合などは確実に青色申告をしておきましょう。青色申告を選択するためには開業時に青色申告承認申請書の提出が必要です。
メリット③:専従者給与を全額経費計上することができる
青色申告者が奥さんや子供や親戚などが従業員として一緒に働いて給料を支払っている場合は専従者給与という勘定科目で全額経費計上することが可能です。
専従者給与として費用計上するためにはいくつか条件があり、金額についても考慮すべきポイントがあります。詳細は専従者給与とはを参考にしてください。家族で事業を営んでいる人は青色申告のメリットが大きいでしょう。
メリット④:30万円未満の物品まで一括経費計上できる
個人事業で経費計上する場合、通常は購入した年に全額経費計上しますが、高額なものの場合は複数年にわたって分割経費計上します。これを減価償却と言います。
白色申告の場合は10万円未満が一括経費計上が可能ですが、青色申告の場合は「少額減価償却資産の特例」という制度により、30万円未満まで一括経費計上が可能となっています。
経費計上を早くしたほうが税金を引き下げる効果が前に来るため、キャッシュフローが良くなります。パソコンなど10万円以上30万円未満の機械などを個人事業で大量に購入する想定がある人は青色申告のメリットが大きいでしょう。
青色申告のデメリットを詳しく解説
デメリット①:開業時に提出する書類が多く手間がかかる
青色申告を選択して個人事業主を開業する場合は開業届に加えて所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。
若干手間が増えますが、記載項目はほとんど同じなので正直デメリットとは言えないレベルです。期限日までに所得税の青色申告承認申請書を提出しないと青色申告が選択できず、その年は白色申告しか選択できなくなるので注意しましょう。
デメリット②:帳簿づけが青色申告初心者には難しい。簿記の知識が必要
青色申告で65万円特別控除を受けるためには複式簿記・発生主義による帳簿づけが必要です。
簿記の知識が必要なので、はじめての個人事業主の場合は少々難易度が高いかもしれませんが、ネットで検索すると情報はいくらでも散らばっています。本メディアでも帳簿のカテゴリに簿記や帳簿づけの情報をまとめているので参考にしてください。
関連記事:青色申告の帳簿づけ
デメリット③:青色申告決算書の作成が収支内訳書に比べて難しい
青色申告と白色申告の提出書類は以下のようになっています。
青色申告決算書と収支内訳書の大きな違いは以下になります。他にも細かい差異はありますが、貸借対照表の作成有無が大きな差分です。
収支内訳書:損益計算書(PL)
貸借対照表を作成しないといけないこと、貸借対照表は複式簿記で記帳しないと作成が難しいことが青色申告のデメリットになりますが、複式簿記で記帳していれば集計するだけで作成が可能です。会計ソフトを導入していれば青色申告決算書も収支内訳書も自動出力してくれるため、複式簿記の記帳さえクリアできればデメリットにはなりません。