青色申告特別控除とは【控除額・計算方法・赤字の場合・期限後】

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  • 青色申告特別控除とは、青色申告をしている個人事業主のみに適用される所得控除。
  • 青色申告特別控除を受けるためには所得税の青色申告承認申請書を開業から2か月以内に税務署に提出する。
  • 控除額は10万円と65万円の2種類。
  • 65万円控除を受けるためには所得区分、記帳方法、確定申告の提出書類の3つの条件を全て満たす必要がある。

青色申告のメリットの一つが65万円・10万円の青色申告特別控除です。

以下に、青色申告特別控除とは、適用要件(条件)、青色申告特別控除額、赤字の場合、計算方法(税金のシミュレーション)、不動産所得と事業所得が両方ある場合の控除の順序、期限後申告の取り扱いについて、詳細を説明しています。

青色申告特別控除とは?控除額は65万円と10万円の2パターン

青色申告特別控除とは、青色申告をしている個人事業主のみに適用される所得控除で、控除額は10万円と65万円の2種類があります。その分白色申告に比べると納める税金が少なくなります。

なぜ青色申告が白色申告よりも優遇されているかというと、青色申告は白色申告に比べて帳簿の記帳により手間がかかるため、「ちゃんと帳簿付けをして正確な確定申告を心掛けている人はその分税金を優遇しましょう」という考えに基づいているようです。

どれぐらい優遇されるかというのは次の段落(青色申告特別控除のシミュレーション)でいくつかパターンに分けて具体例を示しています。

青色申告特別控除を受けるためには所得税の青色申告承認申請書を開業から2か月以内に提出する必要があるので開業時に忘れないように提出してください。

青色申告特別控除の計算方法(シミュレーション)

青色申告特別控除を適用すると具体的にいくらぐらい税金が安くなるかシミュレーションしてみました。課税所得金額大きくなればなるほど青色申告特別控除のメリットが大きくなることが一目瞭然です。

前提条件
・2016年時点の税制をベースに簡易的に計算しています。
・独身のケースで算出しています。
住民税は東京23区の金額の前提です。
課税所得金額が300万円の場合

白色申告青色申告(10万円控除)青色申告(65万円控除)
所得税額(復興特別所得税含む)168,000158,000102,000
住民税額272,000262,000207,000
国民健康保険料284,000275,000226,000
支払総額724,000695,000535,000
白色との差額
(=節税効果)
0-29,000-189,000
課税所得金額が500万円の場合
白色申告青色申告(10万円控除)青色申告(65万円控除)
所得税額(復興特別所得税含む)507,000487,000374,000
住民税額472,000462,000407,000
国民健康保険料461,000452,000403,000
支払総額1,440,0001,401,0001,184,000
白色との差額
(=節税効果)
0-39,000-256,000
課税所得金額が1,000万円の場合
白色申告青色申告(10万円控除)青色申告(65万円控除)
所得税額(復興特別所得税含む)1,673,0001,639,0001,457,000
住民税額972,000962,000907,000
国民健康保険料730,000730,000730,000
支払総額3,375,0003,331,0003,094,000
白色との差額
(=節税効果)
0-44,000-281,000

65万円の青色申告特別控除を受けるための3つの条件

65万円の青色申告特別控除を受けるためには以下の3つの条件を全て満たす必要があります。1つでも該当しない場合は10万円控除となります。

条件①:事業所得もしくは不動産所得であること

所得区分が事業所得か不動産所得であることが条件です。雑所得の場合は青色申告ができません。雑所得ではなく事業所得とするためには開業届を提出することが条件ではなく、実態として、「物理的に設備があったり、工数を割いて取り組んでいたり、継続的に事業を行っている状態」となります。

ただし明確な基準はないようなので自分の所得が雑所得になるか事業所得になるかは税務署もしくは税理士先生に聞く必要があります。

条件②:複式簿記・発生主義で記帳していること

借方と貸方を使った複式簿記で記帳することが条件です。複式簿記ではない記帳の方法を単式簿記といい、単式簿記は記帳するときの勘定科目が一つになります。会計ソフトを導入すると複式簿記形式で仕訳を起こすこと楽にできるようになります。

また、記帳は現金主義ではなく発生主義で記帳することが必須条件です。売上や費用は入出金のタイミングではなく、確定したタイミングで売掛金や買掛金、未払金などの勘定科目で仕訳入力します。

記帳についてのルールは青色申告の帳簿にまとめています。

条件③:確定申告で貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を申告期限までに提出すること

青色申告をする場合は確定申告書B青色申告決算書を提出します。青色申告決算書について、65万円控除の人は貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の両方を提出、10万円控除の人は損益計算書(P/L)のみ提出します。

会計ソフトを導入していれば確定申告書と青色申告決算書はかなり簡単に作ることができるので実質的には10万円と65万円のハードルの差はあまりないです。

そして、これらの書類は必ず確定申告提出期限の3月15日までに提出しないと65万円控除を受けることができません。期限後申告は他の条件を満たしていた場合でも10万円控除となります。

赤字の場合は青色申告特別控除の控除額は使えない

確定申告で事業が赤字になってしまった場合、青色申告特別控除の65万円や10万円は使えません。また、利益が青色申告特別控除額よりも小さい場合は、その金額分だけ控除することができます

赤字の場合は控除が使えない分メリットが少ない感じがしますが、赤字の場合の青色申告のメリットには「損失申告をすることで赤字を3年まで繰越可能」というポイントもあります。赤字の場合は必ず損失申告をするようにしましょう。

前提:65万円控除の個人事業主
売上:800万円
経費:850万円
利益:△50万円(赤字)
青色申告特別控除:0円

※簡略化のために他の控除は無視します

前提:65万円控除の個人事業主
売上:800万円
経費:760万円
利益:40万円
青色申告特別控除:40万円

※簡略化のために他の控除は無視します

複数所得がある場合の青色申告特別控除の順序

不動産所得と事業所得が両方ある人は、①不動産所得②事業所得の順に控除します。不動産所得で65万円分引ききれない場合は残りを事業所得から引き算します。また、どちらかの所得が赤字の場合はもう一方の所得からのみ引き算します。

前提:65万円控除の個人事業主
(控除前)
不動産所得:100万円
事業所得:100万円

(控除後)
不動産所得:35万円
事業所得:100万円
合計:135万円
前提:65万円控除の個人事業主
(控除前)
不動産所得:50万円
事業所得:50万円

(控除後)
不動産所得:0円
事業所得:35万円
合計:35万円
前提:65万円控除の個人事業主
(控除前)
不動産所得:10万円
事業所得:20万円

(控除後)
不動産所得:0円
事業所得:0円
合計:0円
前提:65万円控除の個人事業主
(控除前)
不動産所得:△40万円
事業所得:100万円

(控除後)
不動産所得:△40万円
事業所得:35万円
合計:△5万円
前提:65万円控除の個人事業主
(控除前)
不動産所得:70万円
事業所得:△20万円

(控除後)
不動産所得:5万円
事業所得:△20万円
合計:△15万円
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