赤字の場合は確定申告は不要だが、申告しておいたほうがメリット多数

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Q1. 赤字の場合も確定申告は必要ですか?

A1. 赤字の場合は確定申告は不要。但し、申告したほうがメリットが多いので申告したほうがよい

個人事業主で事業所得が38万円以下の人は確定申告の義務はないので、当然赤字の人も確定申告は不要です。ただし、確定申告しない場合は

  • 還付が受けられない
  • 赤字の繰り越しができない
  • その年の収入を証明する書類が存在しない
  • 住民税も無申告となるため、国民健康保険料で支出が増える

というデメリットが発生します。

赤字の場合はなぜ確定申告の義務がないのか?

確定申告をする必要のある人
その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人は、原則として確定申告をしなければなりません。
出典:確定申告|国税庁

そもそも、確定申告は所得控除を引いた課税所得がゼロでない人は納税が発生するので、正しい金額で納税するために申告が必要です。
(厳密には住宅ローン控除など税額控除を差し引いてゼロになる場合は確定申告は不要です。)

全ての人に無条件で摘要される所得控除が基礎控除です。

基礎控除は2018年現在38万円となっていて、事業所得(利益)が38万円以下であれば課税所得はゼロになるため確定申告は不要です。

当然、赤字の個人事業主は課税所得はゼロ(マイナス)になるため、確定申告の義務はありません。

赤字で確定申告するメリット

赤字で確定申告するメリット①:還付が受けられる

取引先から報酬を受け取る場合に10.21%や20.42%の源泉徴収が差し引かれて振り込まれている人や、予定納税で事前に所得税を前払いしている人などは、赤字で確定申告をすることで先に納めていた税金が返ってくることになります。

払いすぎた税金を取り戻す確定申告を還付申告といいます。

関連記事:
還付申告とは【期限・必要書類・方法・いつから】
確定申告と還付申告の違い

赤字で確定申告するメリット②:赤字の繰り越しができる

青色申告限定のメリットになりますが、赤字を翌年以降に繰り越すことができます。

2018年が300万円の赤字、2019年が100万円の黒字、2020年が100万円の黒字、2021年が100万円の黒字の場合

2018年の所得税:赤字のため課税所得ゼロ
2019年の所得税:事業所得100万円 - 損失の繰越控除300万円 = 課税所得ゼロ
2020年の所得税:事業所得100万円 - 損失の繰越控除200万円 = 課税所得ゼロ
2021年の所得税:事業所得100万円 - 損失の繰越控除100万円 = 課税所得ゼロ

赤字の繰り越しは3年間有効なので、赤字の翌年に相殺できない場合でもある意味赤字を有効活用できます。

なお白色申告の場合は、上記の例だと2019年、2020年、2021年はそれぞれ100万円の事業所得に対して税金を支払う必要があります。赤字の場合は確実に青色申告のほうが節税できます。

赤字で確定申告しないデメリット

赤字で確定申告するデメリット①:その年の収入を証明する書類が存在しない

住宅ローンを組む場合や事業資金を借りる場合など、融資を受けようとすると、一般的には収入を証明する書類が必要になります。

過去数年間の収入証明の提出を求められる場合もあるので、数年後に確定申告しない不利益を被る場合も考えられます。

また、赤字で確定申告しない場合でも、領収書の保存や帳簿付けは怠らないようにしておきましょう

仮に税務調査が入った場合に赤字だからといってエビデンスが何もないと赤字とは見做してくれず、単なる無申告になってしまします。

赤字で確定申告しない場合のデメリット②:住民税も無申告となるため、国民健康保険料で支出が増える

個人事業主は確定申告をすることで所得税の申告が完了するだけでなく、住民税や健康保険料(国民健康保険税)などを別途手続きすることなく、それぞれの申告をしたことになります。

赤字で確定申告をしなかった場合は、当然都税事務所も所得が把握できません。その場合、地方自治体によっては

  • 前年の所得が一定基準以下の世帯の場合でも均等割額の軽減が適用されない
  • 高額療養費の自己負担限度額の負担区分が上位区分で判定されてしまう

など、不利益を被る場合があります。