A1. 確定申告書の提出期限の翌日から7年間
仮に2019年3月15日期限の確定申告をした場合、翌日の2019年3月16日から7年間の2026年3月16日までが経理書類の保存期間になります。
ただし、保存期間は書類によって様々で、青色申告者と白色申告者でも異なります。更に、個人事業主と法人でも異なりますので以下に詳細をまとめています。
なお、確定申告書や青色申告決算書、収支内訳書など税務署への届出書類は保存期間の定めがないので、全て保存しておくほうがよいでしょう。
青色申告者の経理書類の保存期間
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(※) | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
確定申告書、青色申告決算書の保存期間には定めがありません。所得を証明する大事な書類なので過去の書類は全て保管しておきましょう。
その他申告に必要な書類は確定申告の必要書類参照。
白色申告者の経理書類の保存期間
保存が必要なもの | 保存期間 | |
---|---|---|
帳簿 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | |
書類 | 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 |
白色申告をする人の中でも事業所得、不動産所得、山林所得の所得が発生する人に限り、経理書類の保存が必要です。
また、年間の収支を計算した結果、確定申告をする必要がない人であっても経理書類の保管は義務づけられているので注意してください。
法人の経理書類の保存期間
保存期間 | 10年 | 7年 |
根拠 | 会社法により、決算書・会計帳簿・事業関連書類は保存期間が10年と定められている | 法人税法により、決算の元データとなる経理書類一式は保存期間が7年と定められている |
具体例 |
経理書類の保存期間を無視して破棄した場合はどうなる?
65万円の青色申告特別控除を受けるためには複式簿記・発生主義で記帳していることが必須条件です。
作成した帳簿は保存が義務付けられているにもかかわらず破棄してしまうと、青色申告特別控除が取り消しとなったとしても証拠がなくなるため文句が言えません。
同じように、消費税においても過去の売上と支出が明確になっていないと仕入税額控除(支払った消費税を売上で受け取った消費税から引くこと)の証明ができず、不必要に税金を納める可能性も出てきます。
その他にも、銀行から融資を受ける場合や補助金・助成金申請など、個人事業や会社の数字を提出できないと不利益となる場面があるので、経理書類は保存期間に関係ない全て保管することをおすすめします。
経理書類の保存方法
紙による保存 | 経理書類の保存方法は、紙による保存が原則。オンプレミスやクラウドの会計ソフトで確定申告した場合でも原則として出力して紙で保存する必要がある。 |
クラウド、サーバー、ストレージ、CD等への保存 | 電磁的記録(クラウド、サーバー、ストレージ、CD等)による保存を行う場合には、保存を開始する3か月前までに所轄税務署長に対して申請書を提出し、承認を受けることが必要。 国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書(PDF)| 国税庁 記載例(PDF)| 国税庁 |
スキャンデータによる保存 | 電磁的記録と同じように、3か月前までに申請することでスキャンデータによる保存が可能。ただし、「書類」はスキャンでOKだが、総勘定元帳など「帳簿」はスキャン保存がNGのため、まとめて管理できない。そのため、紙もしくは電磁的記録の保存がおすすめ。 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書(PDF)| 国税庁 記載例(PDF)| 国税庁 |