予定納税の減額申請ができる人・理由
一定の利益が出ている個人事業主は所得税について予定納税が必要です。(制度全般については所得税の予定納税でまとめています。)
予定納税は昨年の利益をベースに金額が決まりますが、今年と昨年の状況が大きく異なる場合は減額申請が可能です。以下に具体的な例を示します。
[理由1]法人成りのため個人事業主を廃業して事業所得が発生しない場合
個人事業の廃業届と所得税の青色申告の取りやめ届出書を提出したのに予定納税の通知が届いて驚く人も多いと思いますが、法人成りなどで個人事業を廃業した人も予定納税の減額申請書を提出して、今年の事業所得がゼロなので予定納税もゼロであることを申請する必要があります。
[理由2]業績不振で前年より今年の利益が下回る場合
1月~6月までの途中経過を踏まえて12月末までの今年の売上を試算し、利益が昨年を下回ると見込まれる場合は予定納税の減額申請をすることができます。
申請書の書き方は後の段落で紹介していますが、確定申告と同じように所得、所得控除、税額控除などから納税額を試算する必要があり、この計算はけっこう手間がかかります
[理由3]所得控除や税額控除が前年比で増加する場合
例えば以下のような場合は所得控除や税額控除が増える場合は納税額が下がるので減額申請の対象になる可能性があります。
- 今年の医療費が高額になっている場合
- 今年新規で小規模企業共済に加入した場合
- 今年結婚して配偶者控除を受けることができる場合、その他扶養控除や障害者控除など新しく控除を受けることができる場合
- ふるさと納税をして寄付金控除を受けることができる場合
その他減額申請ができる人・理由
- 地震や台風などの災害で事業用の器具や機械に損害を受けた場合
- 賃貸不動産を売却して不動産所得が減少する予定の人
予定納税の減額申請書の書き方
まずは国税庁の予定納税額の減額申請手続ページから申請書のPDFをダウンロードします。
PDFの別紙に書き方の詳細が記載されていますが、かんたんに言うと、確定申告書と同じように計算した結果を記載します。
通知を受けた金額・申請金額欄
通知を受けた金額:予定納税の通知書に記載されていた金額をそのまま記載します。7月に減額申請した人が再度11月に減額申請する場合は、7月に承認された金額を記載します。
申請金額:申請金額は計算結果の金額を記載するので手順としては最後になります。
減額申請の具体的理由・添付書類の名称
減額申請の理由:廃業、休業などの選択肢から選んで丸をつけます。業績悪化の場合はその他に該当します。
減額申請の具体的理由:「平成29年4月1日に事業を法人化し、個人事業を廃止したため」など読んでわかるように完結にまとめます。
添付書類の名称:一般的には損益計算書が該当しますが、例えば医療費が大幅に増加した場合などは医療費控除の明細書も添付するとよいでしょう。「この場合はこれ」といった明確なルールはないようです。
申告納税見積額等の計算書
廃業の場合は所得金額の部分からシンプルにゼロが並ぶ形になりますが、業績悪化などの場合は確定申告書の作成と同じように所得金額、所得控除、税額控除を入力して計算が必要です。
会計ソフトを使うなり、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用するなりして計算しましょう。
予定納税の減額申請の提出期限はいつまで?
予定納税の減額申請の提出期限は以下の通りです。7月15日と11月15日が土日祝日になる場合はその翌営業日が期限になります。2018年(平成30年)7月の減額申請は7月15日が日曜日、7月16日が海の日で祝日なので7月17日が提出期限になります。
第1期分及び第2期分の減額申請 | 7月1日~7月15日 |
第2期分のみの減額申請 | 11月1日~11月15日 |
それぞれ、6月末まで、10月末までの途中経過をもって一年間の納税額の見積もりを計算して減額申請を提出します。