源泉徴収義務者になる個人事業主とは【基準・届出・罰則】

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  • 源泉徴収義務者とは、会社や個人が従業員やアルバイトを雇って給与を支払ったり、顧問税理士料やセミナー講師料(謝礼)など外部の個人に報酬を支払う場合に、その支払の都度所得税と復興特別所得税を源泉徴収(天引き)して支払う義務がある法人や個人事業主を指す。
  • 天引きした所得税と復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納める義務がある。
  • 納税と同時に支払調書の提出義務がある。

個人事業主の中には源泉徴収義務者とそうでない人がいます。以下に、源泉徴収義務者とは、源泉徴収義務者に該当する人・しない人の基準、該当する場合に必要な届出、源泉徴収しなかった場合の罰則について詳細を説明しています。

源泉徴収義務者とは

源泉徴収義務者とは、会社や個人が従業員やアルバイトを雇って給与を支払ったり、顧問税理士料やセミナー講師料(謝礼)など外部の個人に報酬を支払う場合に、その支払の都度所得税と復興特別所得税を源泉徴収(天引き)して支払う義務がある法人や個人事業主を指します。

天引きした所得税と復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納める義務があります。納税と同時に支払調書の提出義務もあるのでこちらも忘れないようにしましょう。

関連記事:支払調書とは

源泉徴収義務者に該当する・該当しない個人事業主

源泉徴収義務者に該当する・該当しない個人事業主
法人(法人成りした場合)①源泉徴収義務者
個人事業主個人への支払い(給与・退職金や外注などの報酬支払い)がない人②源泉徴収義務者ではない
個人への支払い(給与・退職金や外注などの報酬支払い)がある人従業員への給与・退職金(フルタイム、パートタイム、アルバイト等)
③源泉徴収義務者
青色事業専従者への給与 ・退職金④源泉徴収義務者
常時2人以下の家事使用人への給与・退職金⑤源泉徴収義務者ではない
一人で仕事をしている個人事業主⑥源泉徴収義務者ではない

源泉徴収義務者に該当する個人事業主(①③④)

①法人成りした個人事業主

つまり法人全般になりますが、法人成りした場合は基本的に源泉徴収義務者に該当します。定義としては個人事業主と同じく、個人に対して給与や報酬を支払っている場合になりますが、一人法人であっても自分(社長)に役員報酬を支払う場合も源泉徴収の義務があります

仮に最初は売上が低いので役員報酬を支払わなかったとしても、給与支払事務所等の開設届出書を提出した上で、源泉徴収の結果0円として申告しましょう。

③従業員がいる場合

フルタイム、パートタイム、アルバイト等の従業員を雇って給与を支払っている場合源泉徴収義務者に該当します。

④青色事業専従者がいる場合

青色事業専従者給与を支払っている場合も原則、源泉徴収義務者に該当します。ただし、例外として毎月の給与が88,000円未満で扶養控除等申告書を提出している場合は源泉徴収が免除されます

扶養控除等申告書を提出していない場合は源泉徴収する必要があるので提出を忘れないようにしてください。

源泉徴収義務者に該当しない個人事業主(②⑤⑥)

②個人への支払い(給与・退職金や報酬)がない場合

従業員を雇わずに完全に一人でやっていて、外注先への報酬等も特に支払いがない個人事業主は源泉徴収義務者ではありません。

⑤家事使用人がいる場合(常時2人以下)

常時2人以下の家事手伝いなどのお手伝いさんなどに給料や退職金を支払っている場合、給与を支払っているケースに該当しますが例外的に源泉徴収の義務が免除されています。

⑥税理士報酬などの外注先に報酬・料金だけを支払っている場合

このパターンの個人事業主が最も多いと思いますが、顧問税理士への顧問料だけを報酬として支払っている場合は源泉徴収義務者に該当しません

税理士以外にも、ロゴやイラスト作成でフリーランスのデザイナーに外注した場合などは本来源泉徴収が必要な取引にはなりますが、⑥のケースの個人事業主は源泉徴収義務者ではないので、源泉徴収が必要な取引でも源泉徴収しなくてよいことになっています

青色事業専従者や従業員に給与を支払っている個人事業主は税理士報酬や個人への外注など、源泉徴収が必要な取引は源泉徴収する必要があるので注意しましょう。

源泉徴収義務者に該当する個人事業主の届出

開業時に源泉徴収義務者となることが分かっている場合

開業届の給与等支払の状況の欄に給与を記載が必要です。開業届とは別途給与支払事務所等の開設届出書を提出する必要はありません。

開業届の給与等支払の状況の欄

途中で源泉徴収義務者になる場合

開業届を提出した後に源泉徴収義務者に該当することになった場合は「給与支払事務所等の開設届出書」という書類を提出する必要があります。提出期限は初回の給与支払い日から1か月以内です

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(PDF/341KB)|国税庁

源泉徴収が必要な報酬を支払った場合の処理

源泉徴収義務者が外部の個人に対して源泉徴収が必要な報酬を支払う場合は、所得税を源泉徴収した上で先方に支払う必要があります。

セミナー講師の謝礼で10,000円(税抜)を請求された場合

源泉徴収が必要な報酬を支払った場合

10,000円に対する10.21%=1,021円を差し引き、10,000円に対する消費税800円を追加するので、10,000 – 1,021 + 800 = 9,779円を支払うことになります。

注意したいのが、請求書に源泉徴収額が記載されていない場合です。この場合はうっかり徴収を忘れてしまいそうですが、源泉徴収が必要な支払いの場合は忘れずに源泉徴収するようにしましょう

源泉徴収が必要な報酬とは
イ 原稿料や講演料など
 ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
ロ 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
ハ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
ニ プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
ホ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
ヘ ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
ト プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
チ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

出典:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

源泉徴収しなかった時の罰則

源泉徴収義務者が源泉徴収を忘れていた場合は「不納付加算税」「延滞税」の二つが罰則として追徴されることになります。

自分が源泉徴収義務者の場合、相手からの請求書に源泉徴収税額が記載されていないかったとしても源泉徴収して相手に支払う義務があります

もし源泉徴収を忘れて支払ってしまった場合、自分に不納付加算税と延滞税が課せられるだけでなく、取引先の相手にも後々請求する必要が出てくるので迷惑をかける可能性が高いです。源泉徴収義務者は確実に徴収するようにしましょう。

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