個人事業主はいつから税理士が必要か?相場はいくらか?という疑問について、個人事業主歴5年の筆者の個人的な見解をまとめています。
個人事業主に税理士への相談が必要になるタイミングはいつか
個人事業主に税理士への相談が必要になるタイミングは答えが3つぐらいあると思います。「①開業直後」「②事業拡大期」「③税理士と契約しない」の3つです。それぞれの理由を以下にまとめます。
①売上が立つ見込みがあり、とにかく本業に集中したい人は開業直後から税理士に丸投げすべし
個人事業主は営業活動から契約、販売、マーケティング、経理、総務など会社の機能を全て自分でこなす必要があります。1日は24時間しかないので本来は営業や販売、マーケティングなど売上が上がることに時間を割くべきですが、負担が大きいのが日々の記帳です。
これが本当に面倒。飲食や小売など仕訳が多い業種の場合は単純に作業量が多くなりますが、エンジニアやデザイナー、コンサルティングやアフィリエイトなど比較的仕訳が少ない業種であってもとにかく面倒くさい業務です。集中すれば1日5分や1週間分でも30分で終わる作業なのに、全く進まずどうしてもため込む人がほとんどではないかと思います。
というわけで、自分の時間を本業に使えば確実に売上や利益が上がる!と感じている人は選択の余地はなくすぐに頼むべきです。税理士の相場は年間10万円~30万円程度なので、その分をすぐに取り戻せると思う人は開業直後に税理士検索サイトなどで探して税理士に相談しましょう。開業時のTODOは個人事業主の開業にまとめています。
このパターンのデメリットとしては、お金のことを考える時間が全くなくなる分、意識的に数字を見ないと把握できなくなることです。また、簿記の知識がない人はそのまま複式簿記を理解せずに時間が過ぎてしまうので、簿記を学ぶチャンスがなくなることもデメリットです。
②時間があるうちに自分で記帳して簿記を理解。事業拡大で忙しくなってきたら税理士にバトンタッチ
個人事業主の開業直後は忙しいとはいえ、経理の時間ぐらいは確保できる人は是非最初は自分で簿記に触れることをおすすめします。将来的に個人事業が大きくなってきて法人化するような場合は、経営者として簿記や会計全般、税務に詳しくなるメリットが大きくなるからです。
最初から税理士に丸投げすると仕訳のことを真剣に考える機会がほぼなくなります。それは無駄なことを考えないという意味ではメリットですが、経験値は自分でやってみないとなかなか記憶に定着しないデメリットにもなります。
将来的に税理士に依頼する場合も、簿記や経理の知識があるとコミュニケーションがスムーズになるので長期的には時間を取り返せると思います。もし経理に時間が取れるならば個人的にはこのパターンが一番おすすめです。
また、税理士に依頼する場合も丸投げすると費用が高く年間30万程度が相場です。一方、自分で仕訳して確定申告だけをお願いすると最安で年間10万程度で収まります。費用面でも簿記を理解するメリットがあることを覚えておいてください。
③簿記を完全に理解すると個人事業主の経理は税理士がいなくても回る
個人事業主の会計は法人と比べると非常にシンプルであるため、極論税理士がいなくても確定申告まで自分でできます。意外とハードルが低い理由は、ネット上に十分な情報が無料で落ちていること。
本メディア「個人事業主の教科書」も、個人事業主のみなさんが自分で日々の帳簿付けや確定申告をできるように情報をわかりやすくまとめてるよう心がけています。
自分で全て経理処理をする理由はシンプルにお金がかからないことです。経費計上可能とはいえ、10万円程度は費用が発生します。これは経理処理に時間がかかりすぎて時給換算すると10万円以上かかってしまっている場合は税理士に依頼したほうがよいですが、慣れてくると間違いなく時間のコスト換算で10万円以下に収まるでしょう。
自分で全てやってしまって一度も税理士と契約しない場合のデメリットは、節税ノウハウを学ぶ機会がないことです。日々の仕訳や確定申告の書き方などはネットの情報をググればわかる話ですが、節税テクニックや経費の相場観などはなかなかネットに情報が落ちていないか、自分に当てはまるケースがなかなかありません。
ノウハウを学ぶ勉強代だと思って、一年間税理士と契約してみるというのも一つの手です。その場合注意しないといけないのは、自分の事業への知見が豊富な税理士に依頼することです。決め打ちで一人だけに相談して契約するのではなく、手間がかかっても複数の相見積を取りましょう。比較して決めないと良し悪しの判断ができません。
個人事業主の税理士報酬の相場
税理士報酬は月々の顧問料と決算報酬に分かれて支払う場合、月額顧問料のみ、決算報酬のみ、などいくつかパターンがあります。
個人事業主の場合、税理士の相場は年間で10万円~30万円の間が最も多いと思います。月額にすると1万円~3万円程度が相場です。金額の幅は、税理士にどこまで業務をお願いするかどうかがポイントで、領収書を丸投げして後は全部お願いするような場合は最も高くなり、逆に仕訳は全部自分で対応して確定申告の時だけ内容の確認をお願いする場合は10万円以下で対応してくれる税理士事務所もあります。
また、打合せも対面をなくして電話やスカイプなどの面談やチャットだけで対応してもらう形にすると安くなります。