白色申告は開業届が不要?
開業届を出すべきかどうかはまず国税庁の説明を確認してみましょう。
個人が新たに事業を開始した場合には、所得税及び源泉所得税並びに消費税に関する各種届出書等の提出が必要となります。代表的な届出書等は次の表に記載のとおりです。
出典:No.2090 新たに事業を始めたときの届出など|国税庁
届出書等 内容 提出期限等 個人事業の開廃業等届出書 事業を開始した場合
事業所等を開設等した場合事業開始等の日から1か月以内 所得税の青色申告承認申請書 青色申告の承認を受ける場合(青色申告の場合には各種の特典があります。) 原則、承認を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合には、開業の日から2か月以内) 青色事業専従者給与に関する届出書 青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合 青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内) 所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書 住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合(変更前の納税地の所轄税務署長に提出します。) 随時(提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。) 所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 棚卸資産の評価方法及び減価償却資産の償却方法を選定する場合 棚卸資産
①事業を開始した場合
②事業を開始した後、新たに他の種類の事業を開始した場合又は事業の種類を変更した場合
減価償却資産
③事業を開始した場合
④既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した場合
⑤従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を設けた場合
①から⑤までの事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで
記載をそのまま読むと「提出が必要」と書かれているので、不要ではありません。
ただし、出さない場合の罰則は存在せず、事業をやっている限りは確定申告する必要があるため、税務署は確定申告のタイミングで事業を営んでいることを把握します。
よって、実態として白色申告において開業届は不要な状態と言えます。
青色申告は開業届に加えて青色申告承認申請書が必要
一方、青色申告をする場合は開業の日から2か月以内に青色申告承認申請書の提出が必須です。
この場合は開業届とセットで青色申告承認申請書を作成しましょう。2つの書類の記載内容はほぼ一緒です。
関連記事:開業届の書き方、青色申告承認申請書の書き方
青色申告は65万円の青色申告特別控除があるため、白色申告に比べて納める税金が割安になります。
もし事業所得や不動産所得の場合は白色申告を選択するメリットがほぼありません。青色申告を選択しましょう。
なお、アフィリエイトやクラウドソーシングなど、雑所得と事業所得のどちらかになる事業は実態で判断されますが、まずは開業届を提出しないと事業所得にすることはできません。
白色申告で開業届を出すメリット・デメリット
白色申告を予定している人が開業届を出すデメリット失業保険を受給している場合のみです。
また、夫や妻の会社の健康保険に扶養家族として加入している場合は、開業届を出して個人事業主となると扶養から外れる規定になっている場合もあるようなので要確認です。
メリット | デメリット |
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結論は開業届を出して青色申告するほうがメリットが多いです。以前、白色申告は記帳義務がなかった時代がありましたが、2014年以降は青色申告とほぼ同じように記帳義務があります。
ほぼ手間で税金が安くなる青色申告を選択しない理由はないので、開業届で青色申告承認申請書をきっちり出してしまいましょう。日々の記帳は会計ソフトを使っておけば、かなり手間がかかりません。
関連記事:白色申告と青色申告の違い