個人事業主の給与の取扱い【給与所得がある場合・従業員や専従者に給与を支払う場合】

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Q1. 個人事業主は自分に給与を出せる?

A1. 個人事業主は自分に給与を支払えないが、事業の利益を生活費に回すのは自由。

給与という形のお金の移動は給料賃金の勘定科目で仕訳をつくって経費計上しますが、個人事業主は自分自身に給与を支払ってその金額を経費計上することはできません。

ただし、個人事業で稼いだお金とプライベートのお金は自由に行き来できます。事業からプライベートにお金を移動する場合は事業主貸の勘定科目を使って処理します。

給与と違って好きな時に好きな金額をプライベートの口座やお財布に移動できるのは個人事業主ならではですが、その分お金の管理もしっかりする必要があります。

Q2. 個人事業主は誰にも給与を出せないの?

A2. 個人事業主は従業員や専従者に給与を支払って経費計上することが可能。

従業員に給与を支払う時は「給料賃金」の勘定科目、専従者に給与を支払う時は青色申告者であれば専従者給与、白色申告者であれば専従者控除で処理します。

個人事業主の生活費は給与ではなく事業主貸で処理する

法人のお金は自由に個人のお財布に移動ができません。経費計上できる給与や役員報酬などを使いますが労働基準法などに従い、一定のルールの基で支払われます。

一方、個人事業主がプライベートにお金を使おうと思った場合、いつでもいくらでも事業のお金をプライベートで使うことができます

使った分だけを事業主貸で仕訳しておけば問題ありません。ただし、経費計上はできません。

法人⇒プライベート:給与や役員報酬。経費計上できるが、一定のルールで支払われる。

個人事業主⇒プライベート:事業主貸。自由に移動できるが経費にはならない。

個人事業主が生活費として30万円を事業用の口座から生活用口座に振り込んだ場合の仕訳
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
事業主貸300,000普通預金300,000

なお、事業主貸は確定申告のタイミングで元入金と合算して翌年度の元入金とします。詳細は元入金のページにまとめています。

個人事業主が給与所得がある場合

個人事業主の本業は事業所得になりますが、副業でアルバイトをしている場合は給与所得が発生します。また、サラリーマンが副業で個人事業主をしている場合もサラリーマンの給与所得が発生します。

これをどう処理するかというと、アルバイトやサラリーマンの給与は事業所得とは関係ないのでそもそも仕訳が不要です。確定申告書には事業所得とは別に給与所得を記載する欄があるのでそこに記載します

詳細は確定申告書Bの書き方にまとめていますが、会社やアルバイト先から12月にもらう源泉徴収票があれば申告はできます。

個人事業主の本業:事業所得。本業に関係がある収入や支出は全て仕訳する必要がある。

アルバイトやサラリーマンを兼務している場合:給与所得として事業所得とは別に処理。毎月の給与は仕訳不要で、確定申告書に年間の給与所得を記載する。

個人事業主が従業員に給与を支払う場合

個人事業主が従業員に20万円を事業用の口座から従業員の銀行口座に振り込んだ場合の仕訳
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
給料賃金200,000普通預金200,000

従業員に給与を支払う場合は給料賃金の勘定科目を使います。給料賃金は事業経費になります。

個人事業主が専従者に給与を支払う場合

専従者(配偶者や子供、親族)に個人事業を手伝ってもらっている場合は通常の従業員とは異なり、専従者専用の経費処理が存在します。

更に、青色申告と白色申告でも処理が違います。節税面では青色申告のほうがメリットが大きいです。

関連記事:青色申告のメリット白色申告と青色申告の違い

青色申告者の場合

青色申告の個人事業主が専従者に20万円を事業用の口座から従業員の銀行口座に振り込んだ場合の仕訳
借方勘定科目金額貸方勘定科目金額
専従者給与200,000普通預金200,000

青色申告の場合は通常の従業員と同様に支払った給与を全額経費計上可能です。勘定科目は給料賃金ではなく専従者給与を使います。

詳細は青色事業専従者給与とはにまとめています。

白色申告者の場合

白色申告の個人事業主が専従者に20万円を事業用の口座から従業員の銀行口座に振り込んだ場合の仕訳

仕訳なし

白色申告の場合は専従者に給与を支払っても仕訳はつくりません。確定申告書を作成する時に、「専従者給与(控除)額の合計額」に定額を書いて所得から控除します。

つまり、白色申告の場合は専従者にいくら給与を支払っても一定額しか控除できないので節税面で青色申告より不利になります

詳細は専従者控除とはにまとめています。

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