期末商品棚卸高とは
期末商品棚卸高とは、期末(年度末)に保有している商品などの在庫を意味します。反対に、期首(年初)に保有している商品などの在庫は期首商品棚卸高と言います。
1年間でかかった費用はその1年間の収益に対応させるという費用収益対応の原則に則り、在庫として翌年度に販売を持ち越す商品などの費用を当年度に計上せず、翌年度に持ち越すために使う勘定科目です。
期末商品棚卸高の仕訳例
まずは結論から知りたい人のために、期末商品棚卸高の仕訳例をまとめます。詳しい流れは次の段落でまとめています。
日付 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2017/12/31 | 期末商品棚卸高 | 30,000 | 仕入高 | 30,000 |
上記の仕訳は三分法と呼ばれる仕訳法を前提としています。三分法では、商品を仕入れた時は費用勘定の「仕入高」、商品を売った時は収益勘定の「売上高」、年度を繰り越すときは資産勘定の「繰越商品」を使います。
商品を仕入れた時、売った時に「商品」勘定を使う分記法と比べて利益の計算が不要で仕訳処理が楽な点がメリットです。
日付 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2018/12/31 | 仕入高 | 30,000 | 期首商品棚卸高 | 30,000 |
2018/12/31 | 期末商品棚卸高 | 90,000 | 仕入高 | 90,000 |
決算のタイミングで、前年から繰り越した期首商品棚卸高を全て仕入高に戻して、期末に残った商品を全て期末商品棚卸高に変えます。
期末商品棚卸高の求め方(計算方法)
期末商品棚卸高の求め方(計算方法)を具体例で見てみましょう。
期末商品棚卸高の求め方(計算方法)は、上の図のように前期に残った在庫と当期に仕入れた在庫を足し算して、当期に売れた個数を引き算します。
分かりやすくするために具体例は個数で表現しましたが、仕訳は金額ベースなので注意してください。
売上原価の求め方と一連の仕訳
売上原価とは、当期に売れた商品に対する仕入にかかった金額のことを指します。
上の例で、当期販売個数は40個でした。当期の売上原価に計上していいのは、当期に仕入れた100個分ではなく、40個分であることに注意してください。
計算式にすると以下のようになります。
具体例をもう少し細かく設定して仕訳にすると以下のようになります。
b. 2018年5月3日に商品を100個(100,000円分)仕入れて現金で支払った
c. 2018年は一年間と通して40個販売した結果、期末に90個(90,000円分)残った
bについて、仕入れた日付で仕訳を作成します。この時点で仕入高=売上原価は100,000円となります。
日付 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2018/5/3 | 仕入高 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
a,cについて、決算整理仕訳として12/31の日付で仕訳を作成します。一時的に100,000円になっていた売上原価は繰り越す在庫を考慮して最終的に40万円となります。
日付 | 借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
---|---|---|---|---|
2018/12/31 | 仕入高 | 30,000 | 期首商品棚卸高 | 30,000 |
2018/12/31 | 期末商品棚卸高 | 90,000 | 仕入高 | 90,000 |
期末商品棚卸高の損益計算書への書き方
青色申告の人は青色申告決算書、白色申告の人は収支内訳書に損益計算書をまとめます。
期末商品棚卸高、期首商品棚卸高は以下のように損益計算書の一枚目に記載項目があります。また、間の行に仕入を記載する項目もあるので、売上原価についてはここを見ればわかるようになっています。
※画像は青色申告決算書の例ですが収支内訳書も同じような場所に記載する場所があります。
青色申告決算書4枚目の貸借対照表にも記載する
青色申告決算書4枚目の貸借対照表にも期首商品棚卸高と期末商品棚卸高を記載する必要があるので忘れないようにしてください。棚卸資産の左側が期首、右側が期末の商品棚卸高を記載します。
なお、白色申告の場合は貸借対照表がないので不要です。
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