これから個人事業主としてスタートを切る際、最初のハードルとなるのが「開業届」の提出です。多くの人が「マイナンバーカードを使ってスマホで出すべきか」「紙に手書きして税務署へ行くべきか」で迷います。
結論から言えば、2025年現在、圧倒的に推奨されるのは「マイナンバーカードを使用した電子申請(e-Tax)」です。
- スピード: スマホ1つで5分。税務署への移動時間はゼロ。
- 正確性: クラウド作成ツールを使えば、手書きによる記入ミスを完全に防げる。
- 控えの管理: PDFで即座に発行されるため、銀行口座開設時に「控えがない」と焦る心配がない。
本記事では、手書きと電子申請の徹底比較から、マイナンバーカードを持っていない場合の対処法までを解説します。
開業届の提出方法は「どっち」が正解?徹底比較表
まずは、主な3つの提出方法を比較してみましょう。自分の状況に合ったものを選んでください。
| 比較項目 | 電子申請(スマホ/PC) | 手書き(郵送/窓口) |
|---|---|---|
| 必要書類 | マイナンバーカード | 紙の届出書 + 本人確認書類コピー |
| 所要時間 | 約5分〜10分 | 数時間(移動・作成・投函) |
| 控えの入手 | 即時(PDFダウンロード) | 数日〜1週間(郵送の場合) |
| コスト | 0円 | 切手代・封筒代・印刷代 |
マイナンバーカードを使う「電子申請」の圧倒的メリット
なぜ「手書き」ではなく「電子申請」がおすすめか、そこには、単なる時短以上のメリットがあるからです。
① 記入ミスによる「出し直し」のリスクがゼロ
手書きの場合、住所の書き漏れやハンコの押し忘れ、特に「職業欄」や「納税地の選択」で迷い、間違ったまま提出してしまうリスクがあります。クラウド作成ツール(freee開業やマネーフォワード クラウド開業届など)を使えば、質問に答えるだけで整合性の取れた書類が自動作成されます。
② 「控え」の管理が劇的に楽になる
個人事業主にとって、開業届の控えは「事業用の銀行口座開設」「融資の申し込み」「賃貸契約」で必須となる重要書類です。手書き郵送の場合、控えを紛失すると再発行の手続き(保有個人情報開示請求)に1ヶ月近くかかることもあります。電子申請なら、PDFデータをクラウドやHDDに保存しておくだけで、いつでも再印刷が可能です。
③ 青色申告の承認申請も同時に完了する
電子申請ツールの多くは、開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」もセットで送信するよう促してくれます。これにより、節税のチャンスを逃すリスクを物理的に排除できます。
手書き・郵送提出を選ぶべきケースと注意点
それでも「マイナンバーカードを持っていない」「読み取りエラーが出る」などの理由で手書きを選ぶ場合は、以下の点に注意してください。
マイナンバーカードを持っていない場合
マイナンバーカードがなくても、開業届の提出は可能です。以下の書類を準備しましょう。
- マイナンバーを確認できる書類: 通知カードのコピー、またはマイナンバー記載の住民票の写し。
- 身元確認書類: 運転免許証、パスポート、健康保険証などのコピー。
手書き・郵送時の「控え」に関する落とし穴
郵送で提出する場合、「自分の控え用」と「税務署用」の2部を同封し、さらに「返信用封筒(切手貼付済み)」を入れなければなりません。これらを忘れると、控えに受領印が押された状態で返送されず、後日銀行口座が作れないというトラブルに発展します。
令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行いません。
書面申告等における申告書等の提出(送付)の際は、申告書等の正本(提出用)のみを提出(送付)していただきますよう、お願いいたします。
申告書等の控えへ収受日付印の押なつは行いませんが、必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理をお願いいたします。
なお、令和7年1月以降、当分の間の対応として、窓口で交付する「リーフレット」(今般の見直しの内容と申告書等の提出事実等の確認方法をご案内するもの)に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものを、希望者にお渡しいたします。
郵送等により申告書等を提出する際に、切手を貼付した「返信用封筒」を同封された方に対しても、窓口での収受の場合と同様、当分の間の対応として、日付・税務署名(業務センター名)を記載したリーフレットを同封して返送いたします。
出典:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて
スマホで開業届を出す手順(2025年版)
「どっち」か迷っている間に終わるほど、スマホ申請は簡単です。具体的なステップは以下の通りです。
- 作成ツールに登録: 無料の開業届作成サービスに登録。
- 情報を入力: 氏名、住所、職業、開業日、屋号(任意)を入力。
- マイナンバーカードをスキャン: スマホのNFC機能(ICカード読み取り)を使い、署名用電子証明書パスワードを入力。
- 送信: 「送信ボタン」を押して完了。
※2025年現在、マイナポータルアプリとの連携により、以前よりも接続エラーが激減し、非常にスムーズになっています。
「職業欄」と「屋号」の決め方
手書きでもスマホでも迷うのが「職業欄」です。ここは個人事業税の税率に関わるため、戦略的に記入しましょう。
職業欄で迷ったら「具体的」に
「フリーランス」という言葉は職業ではありません。「Webライター」「システムエンジニア」「グラフィックデザイナー」など、第三者が見て内容がわかる名称を記入してください。
屋号は空欄でもOK?
屋号(ビジネスネーム)は決まっていなければ空欄でも受理されます。ただし、銀行口座を屋号名義で作る予定があるなら、この時点で決めておいた方が二度手間になりません。
よくある質問(FAQ)
Q. マイナンバーカードの暗証番号を忘れました。どうすれば?
A. 市区町村の窓口で初期化・再設定が必要です。
連続で入力を間違えるとロックがかかるため、3回間違えたらお住まいの役所へ行きましょう。これが面倒な場合は、一時的に「手書き+通知カード+身分証」での郵送に切り替えるのも手です。
Q. 手書きの方が「受理された感」があって安心では?
A. 気持ちはわかりますが、リスクは手書きの方が高いです。
税務署の窓口は混雑しており、内容を精査してくれるわけではありません。「形式的に受領印を押すだけ」であることが多いため、後から内容の不備を指摘されるリスクは手書きの方が高くなります。電子申請の方がシステム的なチェックが入るため、正確です。
Q. 開業届を出すのに「費用」はかかりますか?
A. 税務署に支払う手数料は0円です。
スマホ申請なら通信費のみ。郵送なら切手代が必要です。無料の作成ツールを使えば、書類作成費用もかかりません。
結論:迷うなら「マイナンバーカード+スマホ」一択
「開業届 マイナンバーカード 手書き どっち」という問いに対する最終回答は、以下の通りです。
- マイナンバーカードがあるなら: 迷わずスマホ(電子申請)。最も正確で、控えの管理も万全です。
- マイナンバーカードがないなら: 急ぎでなければ発行を待つか、「手書き・印刷+郵送」。ただし、返信用封筒と身分証コピーの同封を絶対に忘れないこと。
個人事業主として活動を始めると、確定申告や各種給付金の申請など、行政とのやり取りは全てデジタルへ移行していきます。最初の「開業届」をデジタルで済ませることは、その後のスムーズな事業運営に向けた「デジタル化への第一歩」としても非常に有効です。
