結論から書きます。
紙で申告した場合の青色申告特別控除額 | e-Taxで申告した場合の青色申告特別控除額 | |
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2019年度までの確定申告 | 65万円 | 65万円 |
2020年以降の確定申告 | 55万円 | 65万円 |
2020年1月から青色申告特別控除が55万円に減額になる背景
これは大きく3つの目的があると思います。一つ目はなかなか浸透しないe-Taxを浸透させること、と考えられます。紙とデータを比較すると、システム投資をしてデータにしまえば圧倒的な利便性と管理コストの低減が見込めます。データの集計や検索性も非常に高くなるため、過去の納税データの確認や税務調査にかかる手間=人件費も抑えることができるため、電子申告が浸透すると税務調査が増えることになるかもしれません。
2点目は税収を増やすこと、と考えられます。理由は、電子申告(e-Tax)を広めようとしても、正直手順が煩雑ですしこちらのような有料のICカードリーダーも必要なので、青色申告特別控除が55万円に引き下げられたとしても簡単には浸透しないことが容易に想定できます。
3点目はマイナンバーカードの普及です。2019年現在でもマイナンバーカードの普及率は10%台とかなり低い状況なので、通知カードを廃止する方針など、普及に向けた施策が進んでいます。マイナンバーカードが必要なe-Taxの普及も、マイナンバー普及施策の一つとなります。
基礎控除は48万円に増額されるが所得制限付きのため高所得者はむしろマイナス
基礎控除は48万円に引き上げられますが、以下の表のように所得制限付きなので、所得が大きい個人事業主にとってはむしろマイナスの税制改正となります。
合計所得金額 2,400万円以下 | 合計所得金額 2,400万円超~2,450万円以下 | 合計所得金額 2,450万円超~2,500万円以下 | 合計所得金額 2,500万円超 |
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2019年度までの基礎控除額 | 38万円 | |||
2020年度以降の基礎控除額 | 48万円 | 32万円 | 16万円 | 0円 |
今後も高所得者への実質的な増税は続くのでしょうか。
青色申告特別控除55万円と65万円の場合の税金計算シミュレーション比較
55万円控除の場合 | 65万円控除の場合 | |
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所得税額 | 102,000 | 95,000 |
住民税額 | 207,000 | 197,000 |
国民健康保険料 | 235,000 | 235,000 |
合計 | 544,000 | 527,000 |
年間で17,000円税金が安くなることになります。e-taxのためのカードリーダーを購入してもお釣りがくる額が節税できます。最初は手間ですが、継続的に毎年青色申告をする予定の個人事業主は是非e-Taxの導入を検討すべきです。
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